政府、世界初の「ゼロ排出車サミット」開催

(英国)

ロンドン発

2018年09月19日

政府は9月11日に、バーミンガムで世界初となる「ゼロ排出車サミット」を開催した。テレーザ・メイ首相や関係閣僚が出席したほか、各国の政府関係者やドイツ、米国、日本、中国、スペイン、インドの企業関係者に加え、学術界からも関係者が招かれ、ハイレベルな議論が交わされた。同日、英国、フランス、イタリア、インドネシア、アラブ首長国連邦、米ワシントン州など、11カ国3地域が輸送での排出削減に向けた「バーミンガム宣言」に署名した。

メイ首相はサミットの冒頭演説にて、英国には高水準の人材・技能が存在することや、2027年までに研究開発分野への投資をGDP比で2.4%まで増加させることを目標とし、大幅な投資増加を見込んでいること、G20で法人税率が最低水準であることなど、参加者に向けて英国の投資環境の優位性をアピールした。また、輸送分野での環境対策が英国のみならず国際的な課題となっていることを指摘しつつ、英国を環境対応型の技術革新の主導的な立場に置くことが、政府が野心的な環境目標を設定したことの背景にあるとして、7月に発表した道路輸送の排出削減に向けた「ロード・トゥー・ゼロ(Road to Zero)」戦略(2018年7月12日記事参照)を世界的に最も包括的な計画だとした。この計画では、英国は2040年までにガソリン車やディーゼル車の新車販売を終了し、2050年にはあらゆる自動車が排出ゼロになる目標が示されている。メイ首相はこの演説で、政府が新たに蓄電池や水素技術といった超低排出車に関連する研究開発に1億600万ポンド(約156億8,800万円、1ポンド=約148円)を拠出することを発表した。

なお、政府は1月に、2017年11月に発表した産業戦略に基づく自動車産業と政府間の資金拠出など関与の在り方を示した「自動車セクター・ディール」を発表し、5月には産業戦略の重要分野(グランド・チャレンジ)である「将来型モビリティー」の具体的目標として英国をゼロ排出車の設計・製造の最前線にすることを掲げる(2018年5月30日記事参照)など、電気自動車(EV)をはじめとするゼロ排出車の普及に向けた政策を打ち出していた。

(木下裕之)

(英国)

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