米韓FTAの改訂協定に署名
(米国、韓国)
ニューヨーク発
2018年09月26日
トランプ大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は9月24日、米韓自由貿易協定(米韓FTA、通称KORUS)の改訂協定にニューヨークで署名した。米韓両国政府は9月3日にKORUSの交渉結果の詳細内容を公表しており(2018年9月18日記事参照)、米通商代表部(USTR)は韓国側のパブリックコメントを経た後に署名手続きに入るとしていた。
USTRが同日に公表したファクトシートは、上述の交渉結果の詳細に沿ったものであり、米国側のトラック関税(25%)の撤廃期限を2021年から2041年に変更することや、米国の自動車安全基準(FMVSS)を満たす車についてはメーカーごとに年間5万台まで韓国の安全基準を満たすものとして韓国に輸出できるようにすることなど、自動車分野の合意事項が多く並んでいる。ビッグスリーが組織する自動車政策会議(AAPC)は、「米国製自動車にとって韓国市場は最も困難な市場の一つだった」として、KORUSの改訂を歓迎した
。
232条の自動車関税との関係は不明
外資系自動車ブランドのディーラー団体である米国国際自動車ディーラー協会(AIADA)も、改訂協定の署名を評価した。「KORUSは起亜と現代の1,600もの米国内のディーラーと、これらディーラーの11万人以上の従業員に経済的な保証をもたらしている」と述べている。一方でAIADAは、「1962年通商拡大法232条(以下、232条)の安全保障調査により検討されている関税は、米国人の雇用を創出し、米国人の家族が手頃に自動車やトラックなどを入手できるようにするこのKORUSや他の貿易協定を台無しにする可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
韓国政府は、KORUSの改訂が成立すれば、韓国は自動車と同部品に対する232条の関税発動の適用除外になるとの期待を示してきた(通商専門誌「インサイドUSトレード」9月5日)。しかし、署名を受けた両国政府の共同声明や、署名式におけるトランプ大統領と文大統領の記者会見
では、自動車と同部品に対する232条の関税発動についての記述・発言はなく、同関税をめぐる交渉内容は不明となっている。
(鈴木敦)
(米国、韓国)
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