8月のインフレ率は前月比3.9%と上昇続く

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年09月19日

国家統計センサス局(INDEC)は9月13日、8月の消費者物価指数上昇率(インフレ率)が前月比3.9%、前年同月比34.4%になったと発表した。前月比の上昇率では2018年に入って最も高かった6月を上回った。1~8月期の累積インフレ率は24.3%に達し、2017年の年間インフレ率(24.8%)にほぼ並んだ。

インフレ率を産業別に前月比でみると、「通信」(12.4%)が突出し、「住宅・光熱・その他燃料」(6.2%)、「医療・健康」(4.1%)、「食品・飲料(酒類を除く)」(4.0%)などの上昇が目立った(表参照)。また、前年同月比でみても、「住宅・光熱・その他燃料」(52.8%)、「通信」(48.4%)、「交通」(45.0%)など軒並み高い上昇率となっている。

表 2018年8月の産業別インフレ率

なお、8月は通信各社の価格改定、燃料価格や交通機関利用料の値上げなどが続いた。またジェトロが進出日系企業数社にヒアリングをしたところ、4月以降の自国通貨アルゼンチン・ペソの下落を通じて、漸次的ながら輸入製品などの調達コストの上昇に転嫁されているとのことだ。

また8月には、トルコ・リラの急落といった対外的な要因に加え、同月末にIMFとの融資前倒しの協議に入るとの見通しに伴う先行き不透明感の高まりといった対内的な要因によって、アルゼンチン・ペソが下落。この影響として、現地紙「ラ・ナシオン」(9月14日)は、9月のインフレ率の見通しとして前月比5~6%、2018年通年では45%に近づくと報じている。

なお、中央銀行発表の現地民間エコノミストによる最新経済見通しの集計値(REM)によると、2018年末のインフレ率の見通しは40.3%となっており、インフレ率が抑制される見通しは立っていない(2018年9月7日記事参照)。中銀としては、為替の安定を通じたインフレ率の抑制を目指しているが、9月14日時点においても1ドル=40ペソ近い水準でペソ安基調が続いており、落ち着きを見せていない。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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