エチオピアとエリトリアが平和協定締結、国境も再開

(エチオピア、エリトリア)

アディスアベバ発

2018年09月19日

エチオピアとエリトリアは9月16日、サウジアラビア第2の都市ジッダで「ジッダ平和協定」に署名した。協定の詳細は明らかでないものの、サルマン国王仲介の下、立ち会ったグテーレス国連事務総長は「希望の風が『アフリカの角』地域を強力に吹き渡っている」と歓迎している。

エチオピアのエリトリアとの関係改善に向けた動きが目まぐるしい。7月には、両国首脳が相互に相手国を訪問した(2018年7月18日記事参照)。これ以降も、通信の再開、在エリトリア・エチオピア大使館の開設、エリトリア航空のアディスアベバ就航、マッサワ港へのエチオピア船舶の寄港(現地報道によると、エリトリアが中国に輸出する亜鉛1万1,000トンを船積み予定)など、実務協議を挟みながら順調に実績を積み上げていた。

9月に入ってからも、エチオピアのアビィ・アハメド首相が北京の中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)から戻るとすぐに、2回目のエリトリア訪問を果たし、イサイアス・アフォルキ大統領と会談するなど、信頼醸成に努めている。エチオピア暦で新年を迎えた9月11日には、3回目となるエリトリア訪問で、首脳同士が両国間の国境の往来を再開した。国境は、エリトリアのマッサワ港とアッサブ港から、それぞれエチオピアに向かう陸路に位置する。両首脳は、国境再開に先立ち、各港の視察と幹線道路も実走したと複数の報道が伝えている。

地域全体に関係改善の機運も

両国の和平は、地域全体に関係改善と協力の機運をもたらしている。エチオピアは9月5日にエリトリアの首都アスマラで、エリトリアとソマリアとの3カ国で「包括協力協定」にも署名済み。これは、政治・経済・社会・文化面での協力、地域の平和と安全促進、それらを実現する高級実務者会合の設置などを含む。協定成立を受けた翌6日には3カ国の外相がジブチで会合を持った。ジブチはエリトリアとの間で国境問題を抱えるが、エチオピアなどの後押しで、今後、エリトリアとの関係正常化に向けた対話を図ることを表明している。

(関隆夫)

(エチオピア、エリトリア)

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