カンボジアの新駐米大使、米国との関係強化に意欲

(カンボジア)

プノンペン発、アジア大洋州課

2018年09月26日

米国で9月17日、新任のチャム・サウンリー駐米カンボジア大使の信任状授与式が行われた。式典の中で、サウンリー大使は両国の相互利益のために協力関係を強化することに意欲を示し、米国政府との関係強化のため最善を尽くすとした。また、トランプ大統領はカンボジアの経済成長を称賛し、同国で自由で公正な貿易、地域の安全保障、民主的な統治が行われることに期待を寄せた。カンボジアにとって、米国との政治的関係は、カンボジアから米国への輸出に対する懸念事項になるとされており、今後の動向が注目される。

米国は2018年7月、カンボジアで実施された国民議会選挙について「民意を反映していない欠陥のある選挙だ」とする声明を発表し(2018年8月2日記事参照)、同月にフン・セン首相およびその側近に対して米国への入国禁止などの制裁を科す、カンボジア民主主義法を可決していた。また、9月5日に行われたカンボジア国会開会式において、米国は不参加だった。背景には、125議席全てを人民党が獲得した国民議会選挙の実施前に、最大野党だった救国党の党首であるケム・ソカ氏の国家反逆罪による逮捕と、同党の解党が実施されたことがあるとみられる。

カンボジア縫製業協会(GMAC)は、米中貿易摩擦が同国の縫製業界に経済的な恩恵を与えることを期待している。GMACは、中国が米国に50億ドルほど輸出している旅行用品の製造拠点が、中国からカンボジアに移転する動きが今後、加速すると見込んでいる(「クメールタイムズ」紙8月13日)。さらに、米国が9月24日に発動した第3弾の対中制裁関税の品目に、ハンドバッグなどの服飾品が含まれており、カンボジアが中国からの移転先の生産拠点として、存在感が一段と増すことが予想される。

なお、カンボジアでは9月6日、新内閣が発足し、フン・セン氏をはじめとした全ての閣僚が再任となった。

(磯邊千春、安野亮太)

(カンボジア)

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