国民議会選挙で与党の勝利確実

(カンボジア)

プノンペン発

2018年08月02日

カンボジアで7月29日に、25州ごとの直接選挙で125議席を争う国民議会(下院)選挙が実施された。カンボジア国家選挙委員会(NEC)の速報によると、フン・セン首相率いる与党の人民党が得票率76.78%を獲得し、勝利が確実とされている。

選挙は大きな混乱なく実施

7月7日から27日までの選挙運動期間中、各党は大規模な集会、行進を実施した。中でも人民党は最終日にプノンペン市内で支持者約25万人を集め支援を訴えたが、衝突などは起きなかった。また、政府は投票前日から当日までの安全対策のためとしてアルコール類の販売と消費を禁止する声明を発表し、結果として投票日に大きな混乱は見られなかった。

NECによると、有権者約838万人のうち登録率は84.8%で、投票率は前回(2013年)の69.6%を大きく上回る82.9%だった。フン・セン首相は「有権者が自らの意思で投票に行った」と主張し、与党の支持者に感謝の意を述べた。人民党との結び付きが強く、積極的に投資を行っている中国は、今回の選挙が順調に行われ人民党が勝利を確実としたことに祝意を表した。

米国とカナダは公正でないと批判

2017年に解党に追い込まれた旧救国党メンバーは、今回の選挙は公正なかたちで行われていないとし、投票ボイコットを呼び掛けていた。これに対し、人民党は有権者に投票を強く求め、呼び掛けを封じたかたちになったとみられているが、無効票は約60万票と投票総数の8.6%を占め、前回の1.6%を大きく上回った。米国政府は「民意を反映していない欠陥のある選挙」という声明を発表し、カナダ政府も「自由で公正な選挙ではない」と批判した。

カンボジアには2017年末時点で、日系企業がプノンペンを中心に186社進出している(日本商工会議所登録ベース)。今回の選挙結果について、現地日系企業からは「想定内の結果」との声が複数聞かれた。また、ある日系製造業は「電力料金の値下げなど与党のマニフェストの適切な履行と、物流網を整備するロジスティックマスタープランのさらなる加速化を期待する」とコメントした。

(磯邊千春)

(カンボジア)

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