中国、多面的支援でアフリカ諸国への影響力を高める構え

(中国、アフリカ)

北京発

2018年09月13日

9月3~4日に北京で開催された中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)で、「中国アフリカ協力フォーラム・北京行動計画(2019~2021)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が採択された(2018年9月12日記事参照)。「北京行動計画」は今後3年間の中国とアフリカ諸国の協力について具体的に実施する計画を表明したものという位置付けだ。

「北京行動計画」には、政治、経済、社会開発、人材・文化、平和・安全保障、国際、FOCACのメカニズムの構築という幅広い分野にわたる協力の内容が盛り込まれた(添付資料参照)。

政治分野では、中国・アフリカ諸国の政党間におけるハイレベルの交流の頻度を高め、ガバナンスと開発経験についての交流を強化することなどが盛り込まれた。

経済分野では、インフラの計画、設計、建設、運営などの領域における相互協力を強化すること、中国がアフリカ諸国の付加価値の高い農産物や工業製品などの中国への輸出拡大を支援することなどが盛り込まれた。

社会開発分野では、専門人材を育成するため、中国がアフリカ諸国の1,000人のエリート人材に研修の機会を提供すること、5万人に対し中国政府の奨学金を授与することなどが盛り込まれた。

このほか、中国は中国企業が先進的な設備、技術、標準、サービスなどを利用することや、港湾、空港、航空会社に投資することを奨励・支援することで、アフリカ諸国のインフラの改善を図るとともに、中国企業のアフリカ諸国への進出を支援する取り組みなども盛り込まれた。

また、中国がアフリカ諸国における既存の孔子学院の発展を支援すること、アフリカ諸国が中国語教育を国家教育制度に組み入れることを歓迎することなど、文化面での中国の影響力を高める取り組みも盛り込まれた。

このような中国の支援計画について、欧米メディアから「債務のわな」や「新植民地主義」という批判がなされているが、「人民日報」はこのような批判を念頭に、「中国のアフリカ諸国に対する融資は、アフリカ諸国のニーズを第一に考慮したものであり、いかなる国家も工業化の初期段階においては巨大な資金ニーズがある」こと、「中国は自国が貧しい時代においてもアフリカ諸国の発展を支援しており、内政干渉と政治的条件の付加を一貫して行わず、数十年間惜しみなく発展の経験と先進技術をアフリカ諸国に与えてきた」ことを挙げ反論した(「人民網」9月2日)。

(藤原智生)

(中国、アフリカ)

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