北部の中間選挙情勢、多様性を反映する民主党候補

(米国)

米州課

2018年09月19日

11月の中間選挙に向けて北部の各州で予備選挙が終了した。その動向を紹介する。米国社会の多様性を反映する民主党候補が各州で誕生した。

ニューヨーク州およびマサチューセッツ州で、現職のベテラン下院議員が敗れる波乱があった。ニューヨーク州の下院14区では、アレクサンドリア・オケイジオコルテス氏が10期務めた現職のジョセフ・クローリー氏を抑え、民主党候補となった。オケイジオコルテス氏はヒスパニック系で28歳。バーニー・サンダース氏が民主党の大統領予備選に立候補した時のキャンペーンスタッフとして参加した経験がある。共和党候補は、アンソニー・パパス氏(経済学者)。予想では民主党確実とみられているが、クローリー氏は党外から出馬する意向を示している。

マサチューセッツ州の下院7区では、10期務めた現職のマイケル・カプアーノ氏を破り、アヤンナ・プレスリー氏(ボストン市議会議員)が民主党候補になった。共和党の立候補者がいないため、プレスリー氏は同州初の黒人下院議員となる見込みだ。

また、コネチカット州の下院5区では、ジャハナ・ヘイズ氏が予想を覆し民主党候補となった。同氏は2016年の全米最優秀教師賞を受賞した教師で、当選すれば、同州で2人目の黒人下院議員となる。共和党候補は、マニー・サントス氏(元メリデン市長)。予想では、民主党確実。

メリーランド州知事選では、ベン・ジェラス氏が予備選に勝利し、民主党候補となった。同氏は、フロリダ州のギラム民主党候補、ジョージア州のエイブラムス民主党候補(2018年9月4日記事参照)と並んで注目される黒人候補だ。共和党候補は、現職のラリー・ホーガン知事。予想では、現職当選がほぼ確実。

バーモント州の知事選では、クリスティン・ホルキスト氏が民主党候補になった。同氏はトランスジェンダーであり、民主・共和党両党を通じてトランスジェンダーであることを公表した人物が知事候補になったのは全米で初めて。共和党候補は、現職のフィル・スコット知事。予想では、現職当選が確実。

同州の上院選に現職のバーニー・サンダース氏(無所属)が再出馬する。共和党候補は、実業家ブルック・ペイジュ氏。予想は、サンダース氏が当選確実だ。

(注)選挙予想は、選挙分析サイト「クックポリティカルレポート(CPR)」の8月24日上院選、9月12日下院選、9月14日知事選の各予想による。

その他地域の中間選挙情勢はこちら(中西部西部南部)。

(松岡智恵子)

(米国)

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