鉄鋼・アルミ輸入、数量割当対象国も製品別適用除外が利用可能に

(米国)

ニューヨーク発

2018年09月05日

トランプ米大統領は8月29日、1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく鉄鋼・アルミニウム製品への関税賦課について、数量割当の対象国からの輸入についても、製品別適用除外制度(注1)の利用を可能にする大統領宣言(鉄鋼外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアルミニウム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に署名した。

232条に基づく鉄鋼・アルミニウムの関税賦課では、米国と数量割当で合意した国(鉄鋼:韓国、アルゼンチン、ブラジル、アルミニウム:アルゼンチン)からの輸入については、製品別適用除外制度を利用することはできなかった。今回の大統領宣言により、これら数量割当国からの輸入であっても、当該措置により直接的な影響を受ける在米企業は、国内製品の品質や供給量が十分でない場合(注2)や特段の安全保障上の理由がある場合に、製品別適用除外制度の利用が可能になった。除外が認められた製品は、申請企業が申請書に記載した取引に限り、当該製品の数量割当が上限に達した以降でも輸入が可能になり、追加関税の賦課も免れる。

商務省は別途、数量割当国を対象にした製品別適用除外制度の詳細を今後発表する予定だ。

建設用鋼材の適用除外は迅速に判断

トランプ大統領はまた、232条に基づく関税賦課が発表された3月8日以前に製造・輸送の書面契約を行っていた建設用鋼材については、早急に数量割当からの適用除外を認めるよう商務長官に指示した。適用除外が認められた製品は、数量割当が上限に達した以降でも輸入が可能になる。ただし、この場合は25%の追加関税を支払う必要がある。

適用除外が認められるためには、(1)製造・輸送を行う製品数量が契約書に明記されていること、(2)米国内での施設建設に使われる鋼材が対象で、米国のサプライヤーからの調達では納期や製品仕様が満たせないこと、(3)当該契約に基づく支払いが施設建設コスト全体の1割以下であること、(4)適用除外が得られなければ、米国内での施設建設が大幅に遅れること、などの条件を満たす必要がある。なお、適用除外が認められた製品は、2019年3月31日までに米国で通関することが求められる。

具体的な申請方法は、商務省産業安全保障局(BIS)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載されている。

(注1)製品別適用除外制度の詳細は2018年3月22日記事参照

(注2)申請の審査においては、地域での当該製品の入手可能性や米国内での輸送可能性などを考慮するとしている。

(鈴木敦)

(米国)

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