製品別適用免除の申請受け付けを開始-通商拡大法232条に基づく鉄鋼とアルミニウムの関税賦課-

(米国)

ニューヨーク発

2018年03月22日

商務省は3月18日、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課について、適用免除を希望する製品の申請受け付けを開始した。国内製品の品質や供給量が十分でない製品などを対象にしており、申請が認められると、通常は1年間にわたり関税が免除される。ただし、申請者は関税賦課の対象製品を用いて米国で事業を行う事業者に限定されており、輸入者側での申請が必要になる。また、関税免除の対象も原則申請者のみで、適用免除を望む在米企業は個別に申請を行うことが必要だ。

適用免除は申請が認められた企業に限定

商務省は3月18日、トランプ大統領が8日に関税賦課を決定した鉄鋼とアルミニウム製品の輸入(注1)について、同関税の適用免除を希望する製品の申請受け付けを開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

3月19日付の連邦官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、適用免除の申請プロセスは商務省の産業安全保障局(BIS)が所管し、申請は連邦政府のウェブサイト(鉄鋼:BIS-2018-0006外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアルミニウム:BIS-2018-0002外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において行う。申請フォームも、同ウェブサイトからダウンロードが可能になっている。なお、申請期限は定められていない。

適用免除の決定は、企業からの申請を受けて、商務長官が他の関連機関と協議の上で行う。国内製品の品質や供給量が十分でない、または米国の安全保障上認められる製品であることが、関税免除の要件になる。

ただし、申請者は、今回の関税賦課の対象の鉄鋼・アルミニウム製品(注2)を使用して米国内で事業(建設、製造、ユーザー企業への供給)を行う事業者(individuals or organizations)に限定されている。このため、輸入者側での申請が必要だ。

また、適用免除は申請企業のみに許可される。仮に、米国企業が申請して適用免除の許可を得た品目であっても、その他の企業が輸入する場合は自動的に適用免除にならない。適用免除を望む在米企業は個別に申請を行う必要がある。

米国内の個人や機関は、申請された適用免除に対して、反対意見を提出することができる。反対意見の提出は、適用免除の申請と同じウェブサイトで受け付けており、フォームも同ウェブサイトからダウンロードが可能になっている。なお、反対意見は、適用免除の申請がされた30日以内に提出する必要がある。

免除期間は通常1年間

適用免除の決定は原則、申請後90日以内に行われるとしている。商務省の判定結果は、申請に対する同省の回答として、上記ウェブサイト上で示されることになっており、免除期間は通常は1年間とされた。適用免除は、商務省の判定結果が示されてから5営業日で適用される。

(注1)トランプ大統領は3月8日、1962年通商拡大法232条〔以下232条、19.U.S.C.1862(b)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕に基づき、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の輸入関税を課すことを決定(2018年3月9日記事参照)したが、一部品目については米国企業の申請に基づき適用除外にする考えを示していた。今回、商務省が発表したのは、この製品別適用除外の申請プロセスに当たる。関税は3月23日から賦課される。

(注2)対象製品の詳細は、2018年3月9日記事参照

(鈴木敦)

(米国)

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