上半期のGDP成長率は6.8%、貿易摩擦の影響は限定的

(中国)

北京発

2018年08月08日

国家統計局の7月13日の発表によると、2018年上半期の実質GDP成長率は前年同期比6.8%となった。2017年通年からは0.1ポイント鈍化したものの、政府目標の6.5%前後は上回った。四半期ごとにみると第2四半期は6.7%と、第1四半期を0.1ポイント下回った(添付資料の図参照)。

国家統計局の毛盛勇報道官は、上半期の中国経済の特徴について、12四半期連続で成長率が6.7~6.9%の範囲で推移しているなどとし、安定成長を強調した。一方、主要経済指標をみると、投資の伸びは前年通年より縮小、消費もわずかに縮小しており、地方政府の債務過剰リスクの防止策などを背景としたインフラ投資の鈍化も目立った。

消費がやや縮小、工業生産は拡大

GDPを項目ごとにみると、消費(社会消費品小売総額)は、前年同期比9.4%増で伸び幅は前年通年より0.8ポイント縮小した(添付資料の表参照)。化粧品類(前年同期比14.2%増)、日用品類(12.6%増)などが好調だった半面、自動車類(2.7%増)の伸びが低かった。政府は7月1日から自動車の輸入関税率を引き下げており、これを見込んだ買い控えが影響したとみられる。

工業生産付加価値額は前年同期比6.7%増で伸び幅は前年通年から0.1ポイント拡大した。専用設備製造業(11.1%増)などが牽引した一方、紡績業(1.1%増)やインフラ関連の鉄道・船舶・航空およびその他の運輸設備製造業(3.4%増)などは低い伸びにとどまった。

貿易総額は、前年同期比16.0%増の2兆2,059億ドルと好調だった。対米輸出をみると、米中貿易摩擦による追加関税を見越した駆け込み輸出などにより、6月単月では426億ドルと過去最高水準となった(2018年7月26日記事参照)。

毛報道官は米中貿易摩擦の中国経済への影響について、「影響はあるが限定的」との認識を示した。なお、中国人民銀行貨幣政策委員会の馬駿委員は、500億ドル規模の貿易摩擦が中国のGDP成長率に与える影響を応用一般均衡分析で推計し、0.2ポイント減の影響があるとした(「新華網」7月6日)。

国務院常務会議は7月23日、企業の研究開発費用の追加控除の対象拡大や財政政策をより積極的に行う方針を示した。また、人民銀行は同日、金融機関に対し、中期貸出制度を通じて単一回では過去最大規模となる5,020億元(約8兆320億円、1元=約16円)の資金供給を行った。政府は、これらの措置で流動性の確保や企業の費用負担の軽減を図り、景気を下支えする姿勢を見せている。

(藤原智生)

(中国)

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