サケオ国境SEZの工業団地は2018年末に完成予定

(タイ)

バンコク発

2018年08月27日

ジェトロは8月15日、タイ中部サケオ県の国境SEZ内にあるサケオ工業団地(添付資料参照)を視察した。開発の現状と今後の予定を報告する。

2019年に開所式、既に入居契約企業も

タイ政府は2014年、周辺国との国境に位置する10の自治体に特別経済開発区(国境SEZ)を設置する構想を発表していた。サケオ工業団地を開発するタイ工業団地公社(IEAT)担当者によれば、同工業団地の建設は2017年から始まり、現在50%の進捗率で、2018年末に完了し、2019年3~4月に開所式を行う予定だ(注1)。

サケオ工業団地はカンボジアとの国境から5キロに位置し、敷地内にフリーゾーンも設置される。洪水被害は少ない地域だが、工業団地の周囲には洪水対策の水路や貯水池も整備される。進出企業は、敷地内の土地を借りて工場を設置するか、建設済みの中小企業用レンタル工場に入居する(注2)。

現在、タイ企業(洗剤製造)とカナダ企業(衣服輸出入)の2社が入居契約を締結しており、今後、工場建設が始まる。また工業団地内の商業区には、飲食店などタイ中小企業17店舗が入居の予定だ。

非熟練労働者の雇用などでBOI恩典も

同工業団地の入居企業は、IEATから得る恩典以外に、国境SEZのターゲット産業に該当する場合、タイ投資委員会(BOI)から通常より手厚い恩典を得る。タイ政府は、国境SEZのターゲット産業(13業種)を発表済みで、サケオ県ではそのうち「セラミック製品」を除いた12業種が対象となる(2016年1月21日記事参照)。

国境SEZの恩典で注目されるのは、周辺国の非熟練労働者の雇用許可だ。IEAT担当者は、「カンボジア人を雇用する場合、企業は雇用局に相談してほしい。雇用局に登録された人材派遣会社が、カンボジア人労働者を企業に紹介する」と説明した。

また、IEAT担当者は「2018年11月までに入居契約に署名した企業に、初年度の土地リース料を無料に、その後も割引レートを適用する。詳細はIEATに相談してほしい」と話している。

写真 サケオ工業団地入口の様子(ジェトロ撮影)
写真 中小企業用レンタル工場(ジェトロ撮影)
写真 17店舗が入居予定の商業区の様子(ジェトロ撮影)

(注1)IEAT担当者によると、IEATは現在、サケオ県の工業団地〔敷地面積261エーカー(約105万6,000平方メートル)〕のほかに、ミャンマーとの国境に近いタイ北部ターク県の国境SEZ、およびタイ南部のソンクラー県の国境SEZの3カ所で、工業団地開発計画を進行中だ。ターク県では開発に必要な土地取得を協議している段階で、ソンクラー県では2018年10月に建設工事を開始する予定だ。

(注2)中小企業用レンタル工場は、3棟設置され、500平方メートル×4ユニット、および1,000平方メートル×1ユニットが現在、用意されている。レンタル料金は140バーツ/平方メートル/月だが、入居後の年数に応じて上昇する。

(高谷浩一、田口裕介)

(タイ)

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