メイ首相が初の南ア公式訪問、幅広い協力を約束

(南アフリカ共和国、英国)

ヨハネスブルク発

2018年08月31日

英国のメイ首相は3日間にわたるアフリカ3カ国歴訪の最初の国として8月28日、南アフリカ共和国を初めて公式訪問した。英国首相の南ア公式訪問は、2011年のキャメロン前首相以来7年ぶり。

ケープタウンで行われたラマポーザ大統領との首脳会談で、両首脳は英国・南部アフリカ関税同盟(SACU)およびモザンビーク経済連携協定(EPA)共同声明に署名した。これにより、英国は2016年に発効したEU・南部アフリカ開発共同体(SADC)EPA(2016年10月13日記事参照)のEPA交渉グループであるSACU5カ国とモザンビークとの経済連携を、離脱後も継承することが決まった。2016年6月の国民投票で英国のEU離脱が決定した段階で、当時のロブ・デービス南ア貿易産業相は、英国が実際に離脱する2年以内にSACUと英国との2者間自由貿易協定(FTA)を締結することを示唆しており、これにのっとるかたちで合意に至った(2016年7月6日記事参照)。

南部アフリカ最大の経済規模を有する南アは旧宗主国である英国との政治・経済的結び付きが強く、英国は南アにとって6位の貿易相手国(2017年)、対内直接投資残高(2016年末)で英国は構成比38.4%を占め1位だ。両首脳は、投資促進を通じた経済成長の実現のために、製造業、農産加工、インフラ整備、鉱業、エネルギー、観光などの分野で互いに協力することを約束した。またメイ首相は、南ア国内で大きな議論となっている「土地改革政策(主に白人所有の土地を黒人に返還する政策)」について「基本的に支持する」とした上で、「合法的、公明正大かつ民主的なプロセスにのっとって行われるべき」と強調した。同政策については、改革の速度を加速させるべくラマポーザ大統領も「補償なしの土地収用」の実行に向けて法案改正をする意向を示したことを受け、市場の警戒感が続いている(2018年8月7日記事参照)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国、英国)

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