米、WTO通じ報復関税措置の協議をロシアに申し入れ
(ロシア、米国)
モスクワ発
2018年08月31日
米国は8月27日、WTO紛争解決機関を通じ、ロシアが7月6日に発表した米国産の工具、建設・道路機械、工作機械、ダンプカーなどへの報復関税措置(2018年7月9日記事参照)に関して、ロシアに協議を申し入れた。
WTOの発表(8月29日)によると、今回の協議申し入れはロシア政府が導入した政府決定第788号「米国を原産国とする特定の品目の関税率の承認について」(2018年7月6日付)に対するもので、WTO協定付属書2「紛争解決に係る規則および手続きに関する了解」第4条およびGATT(注)第23条「無効化または侵害」に基づいて要求している。
米国は、ロシアが実施した報復関税措置はロシアが(WTO加盟時に)約束した譲許税率をはるかに上回るものだと主張。加えて、米国はGATT第2条(a)および(b)に基づき、ロシアが約束した譲許税率よりも不利な措置を米国製品に適用することはできないとし、同措置は米国に生じる利益を直接的・間接的に無効・欠損させるとしている。
これに対して、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は「米国の主張は妥当なものではない。米国は提訴する権利を有するが、ロシアは広範にわたる反論を行うだろう」とコメントしている(「ベドモスチ」8月29日)。
(注)関税および貿易に関する一般協定の略称。本稿で記載しているGATTは1994年の改正協定。
(齋藤寛)
(ロシア、米国)
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