MH州、プラスチック規制が日常生活に影響

(インド)

ムンバイ発

2018年07月27日

インド西部のマハーラーシュトラ(MH)州(州都:ムンバイ)は、環境規制・保護を推進することを目的に「プラスチックおよびポリスチレン製品の製造、使用、販売、移動、取り扱い、保管に関する通達」を3月23日に発表している(2018年4月18日記事参照)。本通達では、3カ月間の猶予期間を設けられていたが、既に6月23日をもって発効しており、違反者には罰金や禁固刑が科される。

3月の規制発表後、4月ごろには州内のスーパーマーケットでレジ袋が配られなくなり始めた。その後、業界団体などから大きな批判もあったが、現状として流通するプラスチック製品などがなくなりつつある。ムンバイ市内のスターバックスではストローが一時、プラスチック製から使用感の劣る紙製のストローになり、ナイフやフォークは木製のものになった。なおその後、スターバックスのストローは生分解性のプラスチック製に改められた。施行後には、ファストフード店ではドリンクを注文しても、ふたやストローがもらえなくなった。クリーニング店においても、これまでは日本と同様に、ビニールのカバーが返却時に掛けられていたが、これがなくなった店もある。

また、従来のプラスチック製ごみ袋は既に多くの店舗で販売されていないが、各家庭ではいまだに使われているのが実情だ。今後は紙袋や生分解性プラスチック製のものに改められる方向だが、生分解性プラスチックのごみ袋は小さなものでも1枚5ルピー(約8円、1ルピー=約1.6円)程度と、これまで用いられてきたものの約3倍の値段になっている。

写真 ムンバイ市内のスターバックスで掲示されいる環境配慮をうたったボード(ジェトロ撮影)
写真 生分解性のごみ袋。下部には州汚染防止委員会(MPCB)の認証番号が記載(ジェトロ撮影)

このように、日常生活レベルにおいては大きな影響が出始めているが、この規制は必ずしも全ての事業者によって順守されているわけではない。施行翌日の6月24日、ムンバイ市内の80以上の飲食店から40万ルピー以上の罰金が徴収されたとの報道があった(CNN日本語版6月26日)。罰則は、初回の違反が5,000ルピー、2回目が1万ルピー、3回目が3カ月の禁固刑と2万5,000ルピーの罰金と定められている。

ただし、通達の解釈をめぐっては不透明な部分も多く、州政府は6月30日に新たな通達を出し、部分的にではあるが適用外の条件などを明確にした。その内容については別の記事で報告する。

(比佐建二郎)

(インド)

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