太平洋同盟、メルコスールと経済関係深化の共同宣言を採択

(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ、南米南部共同市場<メルコスール>)

メキシコ発

7月23~24日にメキシコのプエルト・バジャルタで開催されていた太平洋同盟首脳会合は、域内の自由貿易の推進をこれまで以上に目指す内容の「プエルト・バジャルタ宣言」を採択して閉幕した。また、今回の首脳会合には南米南部共同市場(メルコスール)諸国の代表も招かれており、メルコスール諸国との経済関係の深化に向けた「共同宣言」も採択された。

太平洋同盟は、中南米の太平洋岸4カ国が加盟する経済統合で、2016年5月1日の追加議定書の発効により広域自由貿易協定(FTA)として機能している(2016年5月6日記事参照)。今回の首脳会合にはメルコスールの代表(ウルグアイのバスケス大統領、ブラジルのテーメル大統領、アルゼンチンのライモンディ筆頭外務副大臣、パラグアイのゴンサレス筆頭外務副大臣)が参加しており、太平洋同盟4カ国の首脳とメルコスール4カ国の代表の間で共同宣言が採択された。

共同宣言の内容は、WTOルールに基づく多国間貿易体制を維持・強化し、保護主義を排除して自由貿易と開かれた地域主義の強化を図る堅固な意思を表すとともに、中南米地域の経済統合深化に向けた「アクションプラン」(共同宣言の別添)を実行に移すとしている。また、6カ月ごとに会合を開き、両組織間で「自由貿易枠組み協定」を締結することを視野に入れるとしている。太平洋同盟とメルコスールの経済統合が実現すると、中南米・カリブ地域の人口の81%、GDPの86%、輸出額の89%、外国直接投資受入額の88%を占める地域統合が誕生する(太平洋同盟7月24日付プレスリリース)。

韓国が太平洋同盟の準加盟国候補に

太平洋同盟4カ国首脳間で採択されたプエルト・バジャルタ宣言の中には、メルコスール以外の他国との経済関係深化に向けた内容も含まれる。オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、シンガポールとの間で行われている準加盟国交渉の進展(2018年6月22日付地域・分析レポート参照)に満足の意を表するとともに、韓国を次の準加盟国候補として歓迎し、上記4カ国との交渉が終わり次第、韓国と速やかに交渉を開始することが記載されている。

また、エクアドルが太平洋同盟の準加盟国候補になることに関心を示したことに触れ、エクアドルとの準加盟国交渉を開始するかどうかの共同分析を始めるとしている。また、ベラルーシ、アラブ首長国連邦、セルビアが新たにオブサーバー国として加わり、オブサーバー国は日本も含めて合計55カ国に拡大した。

(中畑貴雄)

(メキシコ、コロンビア、ペルー、チリ、南米南部共同市場<メルコスール>)

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