外国投資を本格誘致へ、経済開発庁がシンガポールでセミナー

(ブルネイ)

シンガポール発

2018年07月03日

ブルネイ経済開発庁(BEDB)のムハンマド・フィルダウス外国直接投資(FDI)担当マネジャーは6月26日、シンガポールで開催したブルネイ投資環境セミナー(BEDB主催、ジェトロ共催)で、「ブルネイは変化している」とし、今後、外国投資を本格誘致する姿勢を強調した。同国はこれまで石油・ガスを中心に投資を受け入れてきたが、近年ではエネルギー分野以外の投資を受け入れるための環境整備を進めている。

ハラール食品製造をはじめ5分野を優先

BEDBによると、ブルネイは投資優先分野として、(1)ハラール製品製造、(2)物流や事務処理のアウトソーシングなどのビジネスサービス、(3)テクノロジー、クリエーティブ産業、(4)観光、(5)石油・ガスの下流部門を挙げている。ハラール製品の投資例としては、カナダの製薬会社ビバ・ファーマスーティカルとブルネイ財務省などが合弁で2013年に開設したブルネイ初の医薬品製造プラント「シンポー・ファーマ(Simpor Pharma)」がある。同プラントは2014年からカナダや米国、マレーシア、中国などのイスラム教徒向けに医薬品、サプリメントなどを輸出している。

このほか大型投資例として、中国の恒逸集団(Hengyi)がブルネイ北部沖ムアラ・ブサール島で建設中の石油精製・石油化学プラントがある(2019年末までに第1期操業予定)。また、2016年12月には中国銀行が支店を開設した。フィルダウス氏によると、恒逸集団や中国銀行に代表されるように、近年、中国による対ブルネイ投資が大きく伸びているという。

ビジネス環境ランキングで56位へ急上昇

ブルネイは近年、投資環境の整備を進めた結果、世界銀行のビジネス環境ランキングで、2018年度は56位と2014年の105位から大きく改善した。フィルダウス氏は、投資先のブルネイの魅力として、「個人所得税が免除で、法人税率が18.5%のほか、戦略的なパイオニア産業へは法人税免除(当初5年間、最長11年間まで延長可能)」など、税制面でのメリットを指摘。また、「最短で2カ月というFDI認可までの期間が以前と比較して短縮した」と述べ、投資案件によっては、「財務省傘下の戦略開発資本ファンド(Strategic Development Capital Fund)との共同投資もある」と説明した。

なお、当日のBEDBのプレゼンテーション資料は添付資料を参照のこと。

(本田智津絵)

(ブルネイ)

ビジネス短信 5a86ca81e56dc9b0