加州法プロポジション65およびFSMAのセミナー開催

(米国)

ロサンゼルス発

2018年07月10日

ジェトロは7月2日、規制関係を専門とする弁護士を講師に迎え、カリフォルニア州法プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法)とFSMA(食品安全強化法)に関するセミナーをロサンゼルス市内で開催した。食品メーカーや輸入業者などを中心に約40人が出席し、事前に出席者から募集した質問を踏まえてセミナーを行った。

カリフォルニア州法プロポジション65(2018年2月13日記事参照)では、がんや生殖障害などを引き起こす化学物質をリスト化しており、当該リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている化学物質を含有する製品を販売・流通させる場合には警告文の表示義務が課せられている。

今回のセミナーでは講師から、8月30日に変更される警告文表示の新ルールのうち、該当する化学物質の少なくとも1つを記載することやカリフォルニア州が記載すべきとしている警告文が修正されたことなどが、主な変更点として説明された。また、同規制では公的機関・民間団体・個人などが、対応を怠っている企業を訴えることができるが、その対象となる品目にはトレンドがあり、最近はコメ(ヒ素がリスト掲載の化学物質に該当)への訴訟が増えていることが紹介された。なお、同規制はカリフォルニア州独自のものだが、自社の知らない流通経路で同州内において販売される場合や、インターネット上で同州向けに販売される場合も規制対応の義務が課せられるため、同州で製造や販売を行う従業員10人以上の事業者は注意が必要だ。

一方、米国食品安全強化法(FSMA)では、連邦食品医薬品局(FDA)による査察の概要や査察当日の対応ポイントなどが説明された。FDAは多くの査察を行っており、査察は事前通告なしで行われることもあるため、査察のたびに準備をするのでは対応が間に合わないケースもある。実際に出席企業の多くも査察を受けていた。日常的な書類の整理や従業員への教育を行い、FSMAへの対応を習慣化することが大切で、それがFDAひいては消費者から信頼を得ることにつながるとのことだった。また、査察当日の対応ポイントとして、情報の開示を対象項目に限定することや担当者が必ず立ち会って的確に対応することのほか、企業秘密がある場合には全ての情報を開示できない旨をしっかりと査察官に伝えることなどが重要、とのアドバイスがあった。

カリフォルニア州法プロポジション65やFSMAは内容的にも難しく、対応に苦慮している企業も多い。特に同州法プロポジション65は品目に適した対応が必要となるため、定期的な専門家への相談が望まれる。

写真 食品メーカーや輸入業者が参加したセミナーの様子(ジェトロ撮影)

(山口真功)

(米国)

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