自動走行EV配車サービス、ルーアン市で実証実験始まる

(フランス)

パリ発

2018年07月05日

自動走行システムを搭載した電気自動車(EV)の配車サービスの実証実験が6月26日、フランス西部ノルマンディー地域圏のルーアン市で始まった。これは、ルーアン周辺の71市町村から成る「メトロポール・ルーアン・ノルマンディー」、自動車ルノー、交通サービス大手トランスデブ(フランス預金供託公庫とベオリアの合資会社)などが中心となって進める、自動走行EVの配車サービスの開発プロジェクトで、同様のサービスの公道での実証実験は欧州で初めて。

利用者はスマートフォンにダウンロードした専用アプリを使い、ルーアン市内の3路線(総延長距離およそ10キロ)上に設置された17ステーションに、遠隔操作による自動走行システムを搭載したルノーのEV「ゾエ」を呼び出し、ステーション間を自動運転EVで移動することができる。同サービスには「ゾエ」4台のほか、トランスデブが輸送機器製造ロールと開発した自動運転の電気バスが導入される予定。

2019年12月まで実証実験を続け、2020年にもルーアン市内の「ラスト・ワンマイル」(公共交通機関の駅から最終目的地までの短い距離)移動手段として公共交通サービスの一部に組み込みたい考えだ。

フランス政府は官民連携による自動走行車の開発・普及に力を入れている。2014年以降、国内で54の実証実験プロジェクトが実施され、自動走行車の走行距離は延べおよそ10万キロに及ぶ。政府の諮問委員会が5月14日に提出した自動走行車普及に向けた環境整備に関わる報告書の提言に基づき、政府は2022年までに公道実証実験に係る法制度を整備する。具体的には、2018年6月18日に閣議決定した「企業の成長・変革のための行動計画に関する法案」(通称:PACTE法案)の中で(2018年6月28日記事参照)、公道実証実験の認可対象となる自動走行車の定義を広げるとともに、実証実験中の事故に関する責任の所在を規定する方針だ。

(山崎あき)

(フランス)

ビジネス短信 49613e4e8a93da15