USTR代表、NAFTA再交渉の8月妥結に意欲

(米国、メキシコ、カナダ)

米州課

2018年07月27日

米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は7月26日、上院歳出委員会の商務・司法・科学・関連機関小委員会の公聴会に出席し、再交渉中の北米自由貿易協定(NAFTA)について、「何らかの結論が8月中に出る」とし、「皆が(妥結を)望んでいれば、無理な期間ではない」と述べた。

NAFTA再交渉では、自動車の原産地規則の見直し、投資家対国家の紛争解決手続き(ISDS)の撤廃、5年ごとに協定の継続を判断する「サンセット条項」の追加など、多くの点で合意に至っていない。また米政権の提案に、議会も必ずしも賛成していない(2018年3月26日記事参照)。今回の公聴会で、ラーマー・アレキサンダー上院議員(共和党、テネシー州)は、「サンセット条項が含まれる新しいNAFTAには、私を含め賛成票を投じそうにない相当数の共和党議員がいる」と明確に反対の意思を示した。

フィリピンはじめ日本やアフリカ諸国とのFTAにも言及

ライトハイザー代表はまた、東アジアやアフリカ諸国との新たな2国間の自由貿易協定(FTA)の締結についても意欲を示した。「米国の候補リストのトップは、フィリピンだ」と述べ、同国とのFTA交渉の開始に意欲をみせた。トランプ、ドゥテルテ両大統領が2017年11月にワシントンで会談した際に、フィリピン側も米国とのFTA締結に意欲をみせていた(通商専門誌「インサイドUSトレード」7月27日)。またライトハイザー代表は、日米新通商対話(FFR)を8月中に実施し、日本にFTA交渉開始の意向を伝えるとも述べた。アフリカ諸国については、既に複数国と協議していることを示唆した。新たなFTAの締結は、USTRにとって「非常に優先度が高い」と述べ、米国の製造業や農業が優位に立てる「モデルとなる協定」とすることが目的と説明した。

(赤平大寿)

(米国、メキシコ、カナダ)

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