オーストリア、下半期のEU理事会議長国プログラムを発表

(EU、オーストリア)

ブリュッセル発

2018年06月27日

オーストリア首相府は6月15日、2018年下半期のEU理事会(閣僚理事会)におけるオーストリア議長国の英語版プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(ドイツ語版は6月6日に発表)。理事会議長国は加盟国が半年ごとの輪番制で担当する。2018年下半期には、英国のEU離脱(ブレグジット)交渉が山場を迎え、2021年以降の中期予算枠組みの審議も本格化する。オーストリア議長国は、グローバル化による経済競争の激化や、近隣地域の武力紛争と移民、テロ対策などの課題に対し「守る欧州(A Europe that protects)」を標語に掲げ、「EUは共通の解決策が必要な大きな課題に取り組むべき」だとして、次の3つを優先分野に挙げた。

デジタル経済への課税実現にも意欲

  1. 「安全保障と不法移民対策」分野:移民問題への対策として、共通欧州庇護(ひご)制度(CEAS)の改革、欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)の強化による域外国境警備の効率化、効果的な送還政策の実現と保護が必要な難民の域外での保護に向けた第三国との協力などを挙げた。
  2. 「デジタル化による繁栄と競争力の維持」分野:過剰規制の回避とイノベーション・デジタル化の促進が必要と認識。新たなビジネスモデルやサービスに対応した環境整備に向け、EU域内のデジタル単一市場の完成や行政機関の近代化、ビジネスのデジタル化に向けた産業政策の刷新に意欲をみせた。また、租税回避の防止と公平な競争環境の実現に向けて、利益が生じた国での課税を可能とするデジタル経済への課税(2018年4月5日記事参照)に取り組む意向を示した。
  3. 「欧州近隣地域の安定」分野:域内の平和・安全には近隣地域の安定が必要だとし、西バルカン諸国との関係強化を打ち出した。欧州委員会が発表した同地域に関する戦略(2018年3月2日記事参照)や2018年上半期のブルガリア議長国(2018年1月24日記事参照)の成果に基づき、同地域諸国のEU加盟に向けた具体的な見通しを立てたい意向だ。

(村岡有)

(EU、オーストリア)

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