米上院の共和党指導部は条約化と議会批准を求める-「米朝首脳会談」に対する見方-
(米国、北朝鮮)
ニューヨーク発
2018年06月14日
6月12日にシンガポールで行われた米朝首脳会談について、共和党指導部は会談結果を支持した。ミッチ・マコーネル上院多数党院内総務(ケンタッキー州)は、マイク・ポンペオ国務長官の「朝鮮半島の不可逆的かつ検証可能で完全な非核化が米国政府の目的」だとの言葉を引きながら、「重要な交渉に関する歴史的な一歩だ」と述べた。ポール・ライアン下院議長(ウィスコンシン州)も、政権をたたえる声明を出している。
また、マコーネル上院多数党院内総務は「大統領が北朝鮮と重要な合意を結ぶのであれば、条約(Treaty)のかたちを取ることを期待する」とし、今後の最終的な合意に関する議会の関与を大統領に求めた。上院外交委員長のボブ・コーカー議員(テネシー州)も同様の期待を示している(議会専門誌「ザ・ヒル」6月12日)。米国憲法の第2章第2条第2項は、上院の出席議員の3分の2の賛成をもって条約を批准するとしている。オバマ前大統領はイランとの核合意に関する「共同包括行動計画(JCPOA)」を条約のかたちを取らない行政合意(executive agreement)として位置付け、議会の批准を得ていなかった。これにより、JCPOAからの脱退についても、トランプ大統領は議会を関与させない行政権限によって決定することができた(2018年5月9日記事参照)。
民主党指導部は米朝首脳会談を批判
今回の北朝鮮との合意に関連する条約を議会が批准する場合は、上院の民主党議員の賛成も必要になるが、民主党のチャック・シューマー上院少数党院内総務(ニューヨーク州)は「大統領は、北朝鮮から何も得ずに、首脳会談の実施や、(会談で)両国の国旗を横に並べて見せること、韓国との軍事演習の停止など、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が欲しがっていたものを与えてしまった」と批判している。
なお、トランプ大統領は首脳会談後の記者会見において、北朝鮮に対する経済制裁は核兵器の問題が取り除かれるまで維持する考えを示している。
(鈴木敦)
(米国、北朝鮮)
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