1,339品目の輸入禁止を発表、リアルは大幅安に

(イラン)

テヘラン発

2018年06月29日

イラン産業鉱山貿易省は6月23日、1,339品目の輸入禁止措置を発表した(ペルシャ語のみ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。ただし、1,339品目の具体的内容は政府から公式には明らかにされておらず、施行については今後を見守る必要がある。

当地報道PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、食料品(乳製品、茶、肉・魚、野菜・果物など)、繊維製品(衣類、じゅうたんなど)、革製品、家具類、木製合板、紙製品、履物・帽子・傘、陶磁器、ガラス製品、貴金属・卑金属製品、一部の鉄鋼製品、一部の医療用品、一部の機械類、一部の電気機器類、乗用車などとされる。乗用車は米国による経済制裁再開の発表(2018年5月9日記事参照)で価格が上昇しているが(2018年6月27日記事参照)、本措置を受けてさらに値上がる可能性もある。

政府としては、米国による経済制裁の再開で原油輸出量が減少し、外貨収入が大幅に減少するという懸念から、本措置によって外貨の流出を防ぐ目的があるとみられている。また、ハメネイ最高指導者の掲げる「抵抗経済(注)」に沿って、国内で生産可能な品目を中心として輸入禁止措置が取られたもようだ。

本発表を受けて、イラン国内の非公式為替市場ではイラン・リアル安が急進した。発表前の6月21日は1ユーロ=8万4,900リアルだったが、発表後の6月25日には1ユーロ=9万7,000リアルまで進み、4日間で14.3%のリアル安となった。6月25日の公定レートは1ユーロ=4万9,544リアルなので、非公式レートが公定レートの約2倍で取引される事態となっている。今般の為替市場混乱に対する抗議のため、テヘラン中心部の大バザールでは多くの店が一斉に休業して小売商や両替商らがデモを行うなどしたが、大きな混乱には至らず、現在は収まっている。

(注)ハメネイ最高指導者が唱える長期的な経済政策。イスラム的価値に根差した国産経済モデルとされ、知的製品の生産と輸出の拡大、戦略的製品の国内生産の増加、近隣諸国の市場開拓の強化などにより、国内の経済基盤を強固にするというもの。国際的な制裁下にあったイランにおいて、制裁の影響のみならず、世界的規模の経済危機や自然災害などさまざまな外的脅威への抵抗力を養うものとされる。

(藤塚理)

(イラン)

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