イーロン・マスク氏がシカゴの高速輸送システム計画を受注

(米国)

シカゴ発

2018年06月21日

テスラやスペースXを率いるイーロン・マスク氏が設立した掘削会社ボーリング・カンパニーとシカゴのラーム・エマニュエル市長は6月14日、オヘア国際空港とシカゴの中心地までの約16マイル(約25キロ)を12分で結ぶ新たな高速輸送システムの建設計画を発表した。

トンネル掘削事業で交通インフラに参入

計画では、空港の新設駅とダウンタウンの既存地下鉄駅(Block37)間を地下トンネルで結び、最大16人が乗れる自動運転車両が各駅を30秒おきに運行。トンネル内を時速100マイル(約160キロ)超で走行するという。

車両は、テスラのスポーツ用多目的車(SUV)「モデルX」をベースにした「電気スケート(Electric skate)」と呼ばれ、最高時速150マイル(約240キロ)で走行が可能だ。同社は、料金については一般的なタクシーやライドシェアの半額以下で、鉄道よりは高いとしており、20~25ドル程度になるとの報道もみられる。

建設費用はボーリング・カンパニーが全てを拠出する。関係者の話では、同社はこの計画の事業費を10億ドル以下としているという(「シカゴ・トリビューン」紙6月14日)。

同日開催された計画発表式典でイーロン・マスク氏は、できれば3、4カ月後にはトンネル掘削を始め、掘削開始後1年半から2年で操業を始めたいとの考えを示すとともに、「3年以上はかからないだろう」と運行までの見通しを述べた。さらに同氏は「ここで解決しなければならない課題は新しく困難だが、テスラやスペースXほどではない」と自信をのぞかせた。

シカゴ市によれば、オヘア国際空港とダウンタウン間を移動する旅行者は1日当たり約2万人で、2045年には少なくとも3万5,000人を超えると予想する。この計画が実現すれば、両区間を結ぶ高速道路の慢性的な渋滞緩和と、既存鉄道で通常約50分かかる移動時間の大幅な短縮が期待される。

今後、シカゴでは、オヘア国際空港の拡張(2018年4月23日記事参照)や既存鉄道への約5,000万ドルの投資も予定されており、同市はこれらのプロジェクトを通じて、シカゴの経済成長を加速し、都市の魅力をさらに高める考えだ。

(仁平宏樹)

(米国)

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