キルギス大統領が訪中、多方面での関係強化で一致

(キルギス、中国)

欧州ロシアCIS課

2018年06月08日

キルギスのソオロンバイ・ジェエンベコフ大統領は6月6日、2017年11月の大統領就任後初めて中国を訪問し、北京で習近平国家主席と会談した。両首脳は両国の多方面にわたる協力関係を強化することで一致し、10の合意文書が調印された。

ジェエンベコフ大統領は会談で習国家主席に対し、中国との協力路線に変更はないことを伝えたほか、経済分野では共同でキルギスに電気自動車の組立工場を建設することを提案した。「キルギスは中国の電気自動車の中央アジア、ユーラシア経済連合(EEU)向け輸出・生産基地になれる」と述べ、習氏が提唱する「一帯一路」政策の観点からも将来性のある事業と説明した。また、キルギスは2018年6月9~10日に中国・青島で開催される上海協力機構サミット後から2019年まで同機構の議長国を務めることから、次回キルギスでのサミット開催に合わせ、習氏のキルギス訪問を要請した。

今回の会談に併せて、両国間で10の合意文書が署名された。内容は、a.全方面での戦略的パートナーシップ設立、b.貿易・経済協力、c.経済分野での人材育成、d.中国向けメロンの植物検疫、e.災害時の移動式病院の提供、f.保健、g.放送(ラジオ、テレビ)、h.口蹄疫(こうていえき)対策、i.社会分野での人材育成、j.大使館建物の建設用地の提供、に関するもの。

ジェエンベコフ大統領が権力基盤を強化

2017年11月に就任したジェエンベコフ大統領は、自身の権力基盤の強化に乗り出している。同大統領はアルマズベク・アタムバエフ前大統領の支持を受けて大統領に当選した(2017年10月19日記事参照)が、2018年4月19日にアタムバエフ氏が首相に任命したサパル・イサコフ首相を解任した(2018年4月23日記事参照)。6月5日にはビシケクの熱電併給所の改修に関する汚職容疑を理由にイサコフ前首相とザミルベク・ニヤザリエフ税関局副長官を逮捕するなど、前政権勢力幹部への圧力を強めている。アタムバエフ前大統領は「熱電併給所の改修は中国の資金提供によって行われたもので、下請け企業も中国側が決めた。キルギス側に裁量の余地はない。汚職追及を名目にした事実上の魔女狩り」と述べ、逮捕は政治的な理由によるものと批判している。

(高橋淳)

(キルギス、中国)

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