キルギス首相、国会の不信任を受け交代

(キルギス)

欧州ロシアCIS課

2018年04月23日

キルギスのソオロンバイ・ジェエンベコフ大統領は4月19日、国会(ジョゴルク・ケネシ)での内閣不信任決議を受け、サパル・イサコフ首相と全閣僚を解任した。また、国会は翌20日、次期首相としてジェエンベコフ氏の首相時代に第1副首相だったムハムメドカリ・アブィルガジエフ氏を全会一致で首相に指名した。

前首相のイサコフ氏は41才で、外務省、大統領府に長らく勤務。2017年3月から大統領府長官となり、同年8月25日には現大統領であるジェエンベコフ氏が大統領選立候補のため首相を辞任したことから、翌26日に首相に就任した。経済、社会政策、教育・科学、エネルギー、環境対策など多岐にわたる政府プログラム「未来への40ステップ」を制定。「タザーコーム」と呼ばれる行政手続きや公共サービスの電子化の推進を通じ、効率化や汚職根絶を目指していた。

国会での不信任決議は、賛成101、反対5の圧倒的多数で採択された。今回の突然の解任劇の背景について地元メディアは、ジェエンベコフ現大統領と前大統領のアルマズベク・アタンバエフ氏との勢力争い、国会議員の反対を押し切りイサコフ氏が進めた税関改革の影響、水力発電所建設や「スマートシティー」建設をめぐる不透明なプロセスに対して国会議員から批判を浴びていたこと、などを挙げている(インターネットメディア「フェルガナ・ニュース」4月19日)。

同首相と閣僚が解任されたことで、今後同国での投資環境改善に向けた経済改革の進展が鈍化するのではないかとの懸念もある。2018年1月にキルギスを訪問したIMF代表団のエドワード・ゲマイエル団長は、金融改革が議会の反対で頓挫したことを指摘し、政府により一層の努力を促していた。

(高橋淳)

(キルギス)

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