政策金利を7.75%に引き上げ、10年ぶりの高金利に

(メキシコ)

メキシコ発

2018年06月26日

メキシコ中央銀行は6月21日、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ7.75%とすることを発表した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げに追随したかたちで(2018年6月15日記事参照)。2008年6月以来約10年ぶりの高金利となる。

中銀は6月21日のプレスリリースで、今回の引き上げの理由として、「2018年5月までのインフレ率の低下は目標どおりだが、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉が合意に至っていない点や、7月1日に実施されるメキシコ大統領選挙と上下両院選挙の状況が不透明であることから、メキシコ・ペソは米ドルに対してペソ安となっており、インフレに対するリスクは増している」と説明している。また中銀は、「米国のメキシコに対する関税措置やメキシコの対抗措置のインフレへの影響については、短期的であり限定的なものになるだろう」との見方を示した。

今回の金利引き上げを受けて、各種ローンの金利も上昇するものとみられ、2017年6月から前年同月比で12カ月連続減少している新車自動車販売などをはじめ、民間消費は冷え込む可能性があるとみられる。

消費者物価が上昇に転じる可能性も

トランプ米大統領就任以後、メキシコへの投資を牽制した発言などによって、2016年終盤頃からメキシコ・ペソの対ドルレートは大きくペソ安に振れ、その結果輸入品の価格が相対的に高くなり消費者物価指数は大きく上昇したが、2018年に入ってからは下降している。2018年6月上旬は年率で4.54%と、ピークだった2017年12月(6.77%)から2ポイント超下がった(図参照)。

図 ペソの対ドルレートと政策金利、インフレ率の推移

一方で、生産者物価指数は2018年に入ってから再び上昇し始めており、5月には年率5.41%に達した。生産者物価指数の上昇に伴い、今後消費者物価指数も上昇に転じる可能性がある。

(岩田理)

(メキシコ)

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