大統領全権代表3人交代、形骸化との指摘も

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月29日

プーチン大統領は6月26日、8人いる各連邦管区の大統領全権代表のうち3人を交代、3人を留任させる大統領令に署名した。交代するのは中央、ウラル、北コーカサス連邦管区の全権代表で、極東連邦管区全権代表は副首相が兼務するため(2018年5月16日記事参照)のユーリー・トルトネフ氏に変更はない(表参照)。

プーチン大統領は5月7日に4期目がスタート。5月18日に新内閣の閣僚を任命し(2018年5月21日記事参照)、6月13日以降、大統領府の機構改革や大統領補佐官などの大統領府スタッフの任命などを進めている。

大統領全権代表制度は2000年5月に創設された。当時は連邦構成体(日本の都道府県に相当)の首長に対し大統領による解任権が確立されておらず、各首長を牽制するため大統領の代理として全権代表を各地域へ派遣した。現在では、政権として地域振興に力を入れるロシア極東を除いて大統領全権代表が政治的イニシアチブを発揮する機会は少なく、今回、全権代表自身が突然解任を知ったケース(前ウラル連邦管区大統領全権代表のイーゴリ・ホルマンスキフ氏)もあり、専門家からは「全権代表制度自体が廃れている」(インターネットメディア「ガゼータ・ルー」6月26日)といった指摘が出ている。

表 各連邦管区の大統領全権代表

(高橋淳、市谷恵子)

(ロシア)

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