第1四半期の実質GDPは前期比年率2.3%成長

(米国)

ニューヨーク発

2018年05月09日

商務省が4月27日に発表した2018年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率の速報値は前期比年率2.3%となり、市場コンセンサス予想(ブルームバーグ調べ)の2.0%を上回った(表参照)。

表 四半期別実質GDPの成長率(前期比年率)と寄与度

前期からプラス幅は縮小

需要項目別の寄与度をみると、押し上げ幅は前期から縮小したものの、個人消費支出(0.7ポイント)や設備投資(0.8ポイント)が引き続き増加したことに加えて、在庫投資(0.4ポイント)や純輸出(0.2ポイント)が前期から反転したことなどが成長率を押し上げた。

個人消費支出は前期比年率1.1%増と、前期(4.0%増)からプラス幅は縮小したものの、引き続き増加した。種類別にみると、耐久財が3.3%減と1年ぶりに減少した一方で、サービスが2.1%増、非耐久財が0.1%増と引き続き増加した。耐久財は自動車・同部品が減少、サービスは金融サービス・保険や医療サービスなど、非耐久財はその他非耐久財などがそれぞれ増加した。

設備投資は6.1%増となり、前期(6.8%増)からプラス幅が縮小したものの、8四半期連続のプラスとなった。種類別にみると、構築物が12.3%増、機器が4.7%増、知的財産が3.6%増と、いずれも伸びた。構築物は鉱物探査・シャフト・採掘井など、機器投資は情報処理機器など、知的財産は研究開発などがそれぞれ増加した。

外需は、輸出が4.8%増、輸入が2.6%増となった。輸出は自動車・エンジン・部品など、輸入は消費財などが増加した。

物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が、前期比年率は2.5%、前年同期比は1.7%となった。

経済諮問委員会(CEA)のケビン・ハセット委員長は、「第1四半期の(成長率の)弱さには、第4四半期にみられた消費の過熱が少し関係した可能性がある」(「ウォールストリート・ジャーナル」紙4月27日)と述べ、前期までにみられた好調な伸びの反動が影響した可能性を指摘した。また、エコノミストからは、第1四半期のGDPは季節調整がうまく行われておらず、いわゆる「残存季節性」の問題(2015年6月1日記事参照)により過小評価されている可能性があるとの指摘もされている(ロイター4月26日)。

(権田直)

(米国)

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