政府とトラック輸送業界、新たな合意

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年05月29日

トラック輸送業界のスト開始から7日目となる5月27日、テーメル大統領は業界団体と新たな合意に達したと発表した。その内容は、(1)ディーゼル油に課せられている連邦負担金(PIS/Cofins、CIDE)相当額の1リットル当たり0.46レアルを60日間免除、(2)有料道路におけるトラックへの通行料課金の一部減免、(3)ブラジル食糧供給公社(Conab)が発注するトラック輸送に関して最低30%を自営業者向けに割り当て、(4)トラック輸送料金に関する最低価格の設定、(5)5月24日の合意内容(2018年5月28日記事参照)の履行、となっている。このうち(2)、(3)、(4)は大統領による暫定措置令で即日発効した(注)。

業界団体は抗議活動とスト解除を呼び掛け

これを受けて、5月24日の合意に参加していなかったブラジル・トラック輸送業者協会(Abcam)は28日に声明を発表し、抗議行動とストの解除を参加者に呼び掛けた。Abcamでは、要求どおり連邦負担金が実質的に免除されること、その免除期間が60日に拡大されたこと、前回の合意でディーゼル油の卸売価格の見直し間隔を毎日から30日になったことなどを評価した。

交通や物流機能の回復には時間かかる見込み

新たな合意を受けて5月28日は幹線道路の封鎖が解除されつつあるものの、完全に交通、物流機能が戻るまでにはまだ時間がかかるとみられる。報道によれば、同日現在、産業への影響として、自動車のほか鉄鋼、紙パルプ、石油化学、機械、電気・電子製品など主要業種で原材料の調達、製品の出荷に支障が生じ、操業を停止している工場もある。市民生活への影響は、サンパウロ市内のガソリンスタンドに燃料がほぼない状態で、バスなど公共交通機関の減便も続いている。病院や薬局では医薬品の不足、学校でも臨時休校といった影響が広がっている。ブラジルの国内貨物輸送の6割はトラックに依存しており、あらためてその影響力の大きさが示されたかたちだ。

(注)(2)に関して2018年暫定措置令833号、(3)に関して831号、(4)に関して832号が発令された。

(二宮康史)

(ブラジル)

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