トラック輸送業者のストで交通や物流に支障
(ブラジル)
サンパウロ発
2018年05月28日
ブラジル・トラック輸送業者協会(Abcam)、全国自営輸送業者連合(CNTA)などトラック輸送業界団体が、燃料となるディーゼル油価格の引き下げを求めたストライキを5月21日から開始したことに伴い、国内交通や物流に支障が生じている。
報道によれば、5月24日時点でサンパウロ州、リオデジャネイロ州など主要経済州を含む25州、1連邦直轄区で道路封鎖などの抗議活動が見られたほか、配送業者がストライキに入ったために一部の小売店への商品供給が滞るなどした。
またサンパウロ市内の一部では燃料供給が滞り、バスの運行本数が減らされるなど都市交通にも影響が生じている。さらにトラック輸送に部品など供給を依存する自動車業界への影響も報じられており、ストが長期化した場合はさらに状況が深刻化する可能性がある。
ディーゼル油への課税見直し求める
政府は財政健全化に向け、これまでガソリンをはじめとした燃料価格に対する税額を引き上げてきた経緯があり、ディーゼル油に対する社会負担金(PIS/Cofins)は1リットル当たり0.4615レアル(約14円、1レアル=約30円)となっている。それ以外に特別財源負担金(CIDE)が課されており、Abcamはこれらの課税額をゼロにするよう求めている。政府当局は財政収支への影響を最小限に抑えつつ、妥協点を見いだすべく検討を続けている。
一方、ディーゼル油を供給する国営石油会社ペトロブラスは5月23日、翌24日から15日間、一時的に卸売価格を10%引き下げることを発表した。ペトロブラスは、同措置に関して「政府とトラック輸送業界団体がストライキを解決するための合意に向けた交渉期間を設けると同時に、国民や企業活動へのマイナスの影響を回避する目的がある」としている。その後については、国際原油価格や為替変動などに応じた、これまでの燃料価格調整を継続する方針だ。
ディーゼル油の卸売価格は5月23日時点で1リットル当たり2.3351レアルだったが、同措置により、24日は2.1016レアルに引き下げられた。ペトロブラスの資料によれば、ディーゼル油の卸売価格は3カ月前の2月23日時点の1.7920レアルから、3割程度値上がりしていた。
(二宮康史)
(ブラジル)
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