滴滴出行、カリフォルニア州で自動走行試験の許可を取得

(米国、中国)

ニューヨーク発

2018年05月22日

カリフォルニア州車両管理局(DMV)の発表(5月10日)によると、中国に本社を置く配車サービス大手の滴滴出行(ディディ・チューシン、以下、滴滴)は、カリフォルニア州で自動走行車の公道試験の実施許可を取得した。

米国には、自動走行車の公道試験に関して全米を統一する規制がなく、州ごとに異なる許可を得る必要がある。カリフォルニア州では、現時点で滴滴を含め53社が公道試験の許可を得ており、そのうち少なくとも4分の1に当たる13社は、中国企業か、中国資本によるスタートアップなどだ。

今回許可を得て公道試験を行うのは、シリコンバレーに2017年に設立された滴滴の研究開発部門の滴滴出行・リサーチ・アメリカ。滴滴の最高技術責任者(CTO)のボブ・チャン氏によると、「交通インフラの最適化や、新エネルギー車と高度運転システムの導入」などを目的に人工知能などの開発を行っている。自動走行車に関しては、シニア・コミュニケーション・ディレクターのリャン・サン氏が、「既に限られた空間内での試験走行を進めてきた」と述べている(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版5月14日)。

滴滴は2016年、配車事業で米国大手のウーバーの中国事業を買収した。2017年の配車回数は中国国内の400都市以上で74億回以上と、世界合計で40億回だったウーバーを大きく超えた。2018年に入ってからは、1月にブラジル最大手の99の買収(2018年2月13日記事参照)や、2月に日本でのタクシー事業者向けサービスのプラットフォームづくりを目的としたソフトバンクとの協業を発表したほか、4月にはメキシコで配車事業を開始(2018年5月1日記事参照)するなど、海外への事業展開を進めている。

(大原典子)

(米国、中国)

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