第8回米州サミット、汚職撲滅に取り組む指針を採択

(ペルー)

リマ発

2018年04月23日

4月13~14日にリマで開催された第8回米州首脳会議は、汚職撲滅に向けて共同で取り組むことで合意に至ったリマ・コミットメント「汚職に対峙(たいじ)する民主的ガバナンス」(表参照)を満場一致で採択し幕を閉じた。ホストを務めたマルティン・ビスカラ大統領は今回のサミットのテーマ「汚職に対峙する民主的ガバナンス」に関し、具体的な取り組みを数週間のうちに策定し、最優先課題として取り組むことを国際社会に対し約束した。

表 リマ・コミットメントの7章項目

ルイス・アルマグロ米州機構(OAS)事務総長は、過去2回のサミットでは宣言が採択合意には至っていないことも踏まえ、ビスカラ大統領が就任してから間もない中、本サミットのホストを務め上げ、リマ・コミットメントの採択に至ったそのイニシアチブと手腕を称賛した。

ベネズエラ情勢に対するコミュニケに署名

国内の人権問題などで内外から非難を浴びているベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、サミットに招待されず欠席。同国の孤立が懸念される一方で、正式な議題ではないが、ペルーを含む北米、メキシコ、チリ、コロンビア、ブラジル、アルゼンチンなど16カ国の首脳などがベネズエラに民主的な選挙の実施を求めるコミュニケに署名した。同国は2017年6月にOASから国内情勢の正常化勧告を受け、同機構からの脱退を表明している。現地紙「エル・コメルシオ」によると、2004~2017年にかけて162万人のベネズエラ人が同国を去り、特に2017年は2015年と比較すると2.3倍にもなっているという。

そのほかにも米州サミットの機会を利用して、太平洋同盟のペルー、メキシコ、チリ、コロンビアの首脳は、市場アクセス、規制緩和、動植物検疫、中小企業支援策などのテーマについて協議を行った。併せて、4カ国の首脳は共同で、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールとともに準加盟国を目指すカナダのトルドー首相と会談を行った(2017年7月19日記事参照)。ペルー輸出におけるカナダほか4カ国の占有率は3.4%(2017年)と限定的で、ペルーにとってこれらの国への市場アクセスの改善が図られれば輸出拡大につながると期待される。なお、2018年7月から1年間ペルーが太平洋同盟の議長国を務める

(藤本雅之)

(ペルー)

ビジネス短信 e1c56151546cd384