USTR主導でGSP対象国の資格審査を開始

(米国、インド、インドネシア、カザフスタン)

ニューヨーク発

2018年04月17日

米通商代表部(USTR)は4月12日、インド、インドネシア、カザフスタンの一般特恵関税制度(GSP)の対象資格を審査すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。GSPは開発途上国・地域からの輸入品に係る関税を一部免除する制度で、2017年末に失効したが、2018年4月22日に再開することが決まっている(2018年3月30日記事参照)。

インド、インドネシア、カザフスタンが対象

GSPは現在、121カ国・地域が対象(注1)。GSPを利用した2017年の輸入額をみると、インドが最大で、インドネシアが4位になっている(表参照)。品目別では、インドからは核酸やステンレス製食卓用品などが、インドネシアからは空気タイヤや金製ネックレスの輸入額が大きい。カザフスタンは12番目に利用額が大きい国で、品目別では合金鉄の輸入額が大きい。

表 2017年のGSP利用上位5カ国と主要利用製品

市場開放を要求

USTRは、インドに関して、貿易障壁の撤廃を訴える乳製品業界と医療機器業界からの要請を受けて審査対象とした。インドネシアに関しては市場アクセスのほか、サービスと投資の規制に問題があるとした。カザフスタンは同国が国際的な労働者保護基準を順守していないとの米国労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)の指摘に基づき審査対象になった。

全米生乳生産者連盟(NMPF)は「われわれは10年にわたりインド市場から不当に退けられてきた。インドネシアも近年、インドと同じ道を歩みつつある」「これらの国が自由で公平な貿易を拒むのであれば、重大な結果が伴うべきだ」として、USTRが両国を審査対象にしたことを評価PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

USTRは2017年10月24日、GSP対象国・地域が米国政府の定めるGSP供与の基準を満たしているかを、3年ごとに政府主導で審査する制度を新設外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。初回はアジア諸国を対象に行うと発表しており、今回はこの制度に基づく初の審査実施になる(注2)。USTRは今後、本件に基づくパブリックコメントや公聴会も開催する予定だ。

なお、USTRは関係者からの申請に基づく対象国・対象製品の見直しを毎年実施しており、現在、このプロセスによる審査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を並行して行っている(申請受付は既に終了)。

(注1)GSP対象国・地域は国際貿易委員会(ITC)の米国関税率表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの注釈4(General Notes 4)に記載がある。4(a)ではGSP対象国・地域、4(b)では後発開発途上国、4(d)ではGSP対象外となる品目と原産国・地域のリストを掲載している。

(注2)次回は東欧、中東・北アフリカ、西半球の国々を対象に2018年秋に実施予定。

(鈴木敦)

(米国、インド、インドネシア、カザフスタン)

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