フィンテックの促進に向けた法律を施行

(メキシコ)

メキシコ発

2018年04月06日

政府は3月9日、官報で金融テクノロジー機関規制法(通称:フィンテック法)を公布し、翌日に施行した。重要な内容は以下のとおり。

  1. 金融テクノロジー機関(ITF)としての許認可制度を導入
  2. ITFをクラウドファンディング機関と電子決済資金機関に分類
  3. 仮想通貨の運用には中央銀行の事前承認が必要
  4. 「金融革新グループ」を創設
  5. レギュラトリー・サンドボックスを導入
  6. 法律違反に対する行政罰や刑罰を規定

1.については、国家銀行証券委員会(CNBV)の認可を受けないと営業ができない。

2.については、ITFの種類としてクラウドファンディング機関と電子決済資金機関に分類し、前者がCNBV、後者が中央銀行によって今後6カ月以内に定められる運営規則に従う。

3.については、仮想通貨を通じてサービスを提供するITFは、事前に中央銀行の承認が必要となり、また流通できる仮想通貨についても中央銀行が承認したものに限られることとなる。

レギュラトリー・サンドボックスも導入

4.については、フィンテック分野の技術革新を促進する目的で官民から最大12人からなる諮問機関を設立する。

5.については、革新的ビジネスモデルを促進するために一時的かつ条件付き規制緩和の枠組みを設ける「レギュラトリー・サンドボックス」(現行の法制度が想定していない革新的な商品・サービスに対して現行法の規制を一時的に停止する規制緩和策)の規定が盛り込まれており、フィンテック先進国の英国やシンガポールの法規制を参考にしている。

6.については、法律では特にマネーロンダリングの防止や利用者の保護を目的としたさまざまな報告義務、監視・監督体制の構築義務がITFに課されており、違反すると行政罰や刑罰の対象となる。

本法案の施行はフィンテック業界に法的信頼性をもたらし、業界の健全な成長とさらなる投資を促す観点から重要とみられている。メキシコにおける2017年7月時点のフィンテックのスタートアップ企業数は238社に達し中南米最多となっている(注)。メキシコにおけるフィンテック業界の動向については、2017年11月10日付地域・分析レポートを参照。

(注)スペインやラテンアメリカのフィンテックに関連する業界団体であるフィノビスタ(Finnovista)が発表した報告書「Fintech Radar」より。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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