中国向け大豆輸出拡大、干ばつの影響もあり限定的

(アルゼンチン、ブラジル、中国、米国)

ブエノスアイレス発

2018年04月11日

米国による通商法301条に基づく中国製品に対する25%の追加関税措置に対し、中国が対抗措置として106品目に対し25%の追加関税を課すと発表する中、大豆の生産大国であるブラジルやアルゼンチンに注目が集まる。しかし、現地の複数メディアの報道は、今回の措置で恩恵を受けるのはブラジルだとする。同国は中国の大豆輸入元として国別1位で、シェアは約5割。一方、アルゼンチンは、2017年末から続く大豆産地の干ばつで、生産量が伸び悩んでおり、国・地域別輸出では、中国向けシェアが約7%であることから、影響は限定的とする見方が多い。

米国との間の懸案事項への波及を警戒

アルゼンチンは、2018年11月のG20サミットに向けて議長国として調整役を担っており、米国や中国に肩入れしているかのような印象を与えるのは得策ではないとの見方がある。加えて、政権内部では米国との間で懸案となっているバイオ燃料の相殺関税問題(2017年12月25日記事参照)や鉄鋼・アルミ輸入関税措置問題に波及する可能性も懸念している。マクリ政権にとって、海外からの投資誘致が今後の経済成長のカギとなっており、米中両国からの投資拡大の観点からも外交面でのバランス感覚が一層求められている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、ブラジル、中国、米国)

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