中国・香港間の株相互取引、5月1日から1日の限度額を4倍に

(香港)

香港発

2018年04月18日

中国の中央銀行である中国人民銀行の易綱総裁は4月11日、海南省ボアオで開催された「ボアオ・アジア・フォーラム」の講演で、中国と香港間の株取引の相互乗り入れ制度である「滬港通」と「深港通」(注)の1日当たりの取引限度額の引き上げを発表した。

中国の証券監督当局である「中国証券監督管理委員会(CSRC)」と香港の証券監督当局である「香港証券先物委員会(SFC)」も同日、限度額の引き上げを発表した。

今回の措置により、5月1日以降は、香港証券取引所を通じた上海A株と深センA株の1日当たりの取引限度額および上海証券取引所と深セン証券取引所を通じた香港株の1日当たりの取引限度額は、それぞれ4倍に引き上げられる(表参照)。

表 滬港通および深港通の1日当たり取引限度額

両当局による発表を受け、香港特別行政区政府の陳茂波(ポール・チャン)財政官は、「取引限度額の引き上げは、株式相互取引制度の健全な発展を促すとともに、海外投資家による中国株への投資と、中国の投資家による香港株への投資を促進する。これにより、香港の国際金融センターとしての地位はより強固となる。香港の資本市場は、中国の資本市場の開放に当たって重要な役割と貢献を果たしていく」と述べ、今回の措置が国際金融市場における香港の地位向上につながることへの期待感を示した。

株価指数「MSCIエマージング・マーケット指数」への中国A株の組み入れを予定している株価指数算出企業の「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル」は「同指数の組み換え日前後の取引額が現状の取引限度額を超過するのではないかという投資家の懸念を軽減した」と両局の発表を歓迎した。香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)の陳徳霖(ノーマン・チャン)総裁も「取引限度額の引き上げにより、中国A株の指数組み入れがスムーズに実施できる」との見解を示した。

(注)「滬港通」は香港証券取引所と上海証券取引所間の株式取引、「深港通」は香港証券取引所と深セン証券取引所間の株式取引の相互乗り入れ制度(2016年12月28日記事参照)。

(吉田和仁)

(香港)

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