環境税が4月から課税、法人税率も引き上げ-中南米の制度改定動向-
(チリ)
サンティアゴ発
2018年03月23日
2014年の税制改革で導入された環境税が4月から課税される。また、段階的に引き上げとなっている法人税率に関しても、2018年はセミ・インテグラド方式の税率が25.5%から27%に変更された。3月に就任したピニェラ大統領は法人税率の引き下げを公約に掲げており、年内に新たな方針が示される見通しだ。
環境税は50MW超の固定汚染源が対象
バチェレ前大統領が行った2014年の税制改革で、汚染物質削減および大気汚染による健康被害の軽減を目的とした環境税の導入が決定していた。徴税は2018年がスタートとなる。50MW(メガワット)を超えるボイラーやタービンなど固定汚染源の使用により粒子状物質(PM)、窒素酸化物(NOx)、二酸化硫黄(SO2)、二酸化炭素(CO2)を排出させる自然人および法人の事業所(法20780号、2014年9月29日官報掲載)が対象で、環境監督庁が対象事業所の汚染物質排出量を測定し、翌年3月に環境省が各事業所等の排出量に応じた課税額を公表、4月から徴税される仕組みだ。なお、支払いは当日の為替レートに基づきペソで支払わなければならない。
PM、NOx、SO2の場合の環境税の計算方式は図のとおり。CO2の場合は、排出量1トン当たり5ドルが課税されるが、一次エネルギー資源としてバイオマスを使用した固定汚染源からの排出には課税されない。
セミ・インテグラド方式の法人税率が27%に
法人税に関しても2014年の税制改革で段階的引き上げが決まっており(2017年3月3日記事参照)、2018年はセミ・インテグラド方式(所得税法14条B)の税率が前年の25.5%から27%となった(表参照)。ただ、ピニェラ大統領は法人税率の引き下げ(OECD加盟国平均の25%程度)を公約に掲げており、年内に具体的な改定方針が示される見通しとなっている。
(岡戸美澪)
(チリ)
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