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産業財産庁、「行動計画2018」を公表

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年03月01日

ブラジル産業財産庁(INPI)は1月26日、「行動計画2018」を公表した。INPIが行動計画を公表するのは、前年に続き2回目。この行動計画はINPIの上級官庁に当たる商工サービス省(MDIC)の指針に沿って定められたもので、3つの優先事項、10の目標、30の取り組みから構成されており、INPIの2018年の活動の基本方針となる。

3つの優先事項:特許審査の生産性を向上

INPIが公表した行動計画は同庁ウェブサイト〔行動計画2018PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(ポルトガル語)〕に掲載されている。以下の3点が「今年絶対にやり残してはならない」優先事項として挙げられている。

  1. 特許審査バックログ(未処理分)の削減:バックログに対して特例措置(極度に簡略化された実体審査、2017年8月8日記事参照)を適用する一方、特許審査の処理能力を向上させ、今後は滞貨を発生させない持続的な体制づくりを取り組みの柱としている。
  2. マドリード協定議定書(マドリードプロトコル)制度への加盟準備:加盟条件を満たすため、FA期間(商標の審査結果の最初の通知が発送されるまでの期間)を18カ月以内にすることを最重要課題と位置付けている。
  3. 不動産問題の解決:予算不足に悩まされているINPIは、不動産問題を解決し、不動産の賃貸や維持にかかるコストを削減することも重要課題としている。

10の目標:全て数値化

行動計画2018では、10項目の数値目標が示されている(表1参照)。特許審査における最終処分件数を前年比9.9%増、商標審査における最終処分件数を11.7%増と定めている。また、商標審査に関してはFA期間を18カ月とすることも明記されている。商標の再審処理件数は70%減となっているが、これは2017年に商標の再審を処理する特別チームを設けて大量に処理したためだ。なお、特許審査に関する数値目標は、バックログの一掃を目的とした特例措置の導入による影響を考慮していない値になっている。

表1 行動計画2018で定められた10の数値目標(単位:件、%、△はマイナス値)
No 項目 2017年(実績) 2018年(目標) 前年比
1 FA件数(特許) 13,955 15,018 7.6
2 審査を経て最終処分に至った件数(特許) 12,695 13,948 9.9
3 審査を経て最終処分に至った件数(商標) 241,225 269,414 11.7
4 審査を経て最終処分に至った件数(意匠) 7,612 9,236 21.3
5 出願の種類に関係なく、庁全体の最終処分件数を年間出願受理件数で割った値(%) 117 97 △ 17
6 再審(特許) 1,816 1,888 4
7 再審(商標) 79,794 23,978 △ 70
8 再審(意匠) 1,369 1,730 26
9 FA期間(商標) 24カ月(異議なし) 18カ月 △ 25
48カ月(異議あり △ 63
10 FA期間(意匠) 12カ月

(出所)INPI資料

30の取り組み:特許審査ハイウエーを拡大へ

行動計画2018で紹介されている30の取り組みは多岐にわたっており、INPIの施設運営や職員の就業規則に関するものなども含まれている。表2は、30の取り組みのうち、日本のユーザーにとって関心が高いと思われるものを取りまとめたものだ。

表2 行動計画2018で定められた30の取り組みの抜粋(●:実施予定)
No 取り組み 目標 実施時期
上半期 下半期
1 マドリード(マドプロ)制度への加盟 加盟条件をクリアできるように庁内体制を整える。
2 特許審査の簡略化措置の導入 立法化に備えて庁内体制を整える。
3 先行技術調査などのアウトソースに関するパイロットプロジェクト リオデジャネイロ連邦大学工学研究所(COPPE)および、科学技術開発審議会(CNPq)との技術協力協定に署名する。
パイロットプログラム向けの研修を開始する。
4 決議193/2017の修正・再公布 決議を再公布する。
8 ISO9001:2015に基づく審査プロセス品質管理システムの導入 品質管理ポリシーを公表する。
国際出願に関する出願受理やサーチに関するプロセスを可視化・文書化する。
13 在宅勤務パイロットプロジェクト 実施中のフェーズを評価する。
新規フェーズを開始する。
15 商工サービス省(MDIC)・ブラジル産業開発庁(ABDI)との技術協力協定への署名および実施 特許文書をデジタル化する。
ITインフラを整備する。
審査中の特許文書のデジタル処理などを行う。
ABDIから提供されるITシステムを導入する。
18 特許審査ハイウエー(PPH)の拡大 USPTO(米国)とのパイロットプロジェクトを拡大する。
SIPO(中国)とのパイロットプロジェクトを開始する(2月1日に開始済み)。
EPO(欧州)、JPO(日本)、PROSUR(南米諸国の産業財産における地域協力システム)とのパイロットプロジェクトを実施する(実施中)。
UKIPO(英国)、DKPTO(デンマーク)、KIPO(韓国)、ROSPATENT(ロシア)、ILPO(イスラエル)、IMPI(メキシコ)とのパイロットプロジェクトに関する覚書(MOU)に署名する。
21 マドプロ制度加盟に向けたIPAS(Industrial Property Automation System)の正式利用 IPASを正式に利用するためにWIPO(世界知的所有権機関)とMOUを締結する。
マドプロ制度加盟に向けたWIPOからの支援に関する合意文書に署名する。

(出所)INPI資料

特許審査の迅速化に関しては、特例措置(取り組み2)に加え、特許協力条約(PCT)ルートの国際出願に対する実体審査を他庁の審査結果のみに基づいて行うことを規定した決議193/2017の修正・再公布(取り組み4)も含まれている。また、先行技術調査などのアウトソースに関するパイロットプロジェクト(取り組み3)に関する記載もある。

国際協力の分野では、特許審査ハイウエ―(PPH)パイロットプロジェクトをUKIPO(英国)、DKPTO(デンマーク)、ROSPATENT(ロシア)、KIPO(韓国)、ILPO(イスラエル)、IMPI(メキシコ)に拡大することが計画されている。

INPIは2017年、基本的に行動計画2017(2017年6月1日記事参照)に沿って活動を行っており、2018年も同様に行動計画2018に沿った活動をしていくものとみられる。

(岡本正紀)

(ブラジル)

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