販売台数鈍化、懸念される増税とリラ安傾向-2017年のトルコ自動車産業(2)-

(トルコ)

イスタンブール発

2018年03月30日

自動車販売業者協会(ODD)によると、2017年の国内販売(小売)は、乗用車(4.5%減、72万2,759台)、軽商用車(2.9%増、23万3,435台)で、両方合わせた販売台数は前年比2.8%減の95万6,194台となった。

乗用車販売は増加

ODDによると、2017年の乗用車販売は、例年通りセダンタイプが中心で、全体の49.4%(35万6,852台)を占める。次いでハッチバックが27.8%(20万1,111台)、SUVが17.9%(12万9,354台)となっている。一方、軽商用車は2.9%増だった。軽商用車はバンが主流で、全体の70.2%(16万3,940台)を占め、軽トラックが12.0%(2万8,052台)、ミニバスが8.9%(2万688台)、ピックアップが8.9%(2万755台)となっている。

乗用車ブランド(全41ブランド)別の販売台数では、ルノーが11万3,454台(前年比6.4%増)で前年に続いて首位、2位が2013年から15年に首位を独走したフォルクスワーゲンで、8万9,688台(11.9%減)となり、2年連続でマイナスだった。また第3位のフィアットが6万1,364台)17.2%増で、上位3社で乗用車市場の36.6%を占める。次いでヒュンダイ、オペル、ダチア、トヨタ、フォードの順となっている(表1参照)。

日系では7位のトヨタに次いで日産(9位)、ホンダ(11位)、スズキ(20位)、スバル(23位)、マツダ(25位)、三菱(28位)、インフィニティ(31位)、レクサス(33位)となっている。また、軽商用車ではフォード、フィアットが突出しており、両ブランドでマーケットシェアの55.6%を占め、フォルクスワーゲンがこれに次ぐ。

なお、自動車工業協会(OSD)によると、2017年のトルコの自動車販売(出荷)台数は、前年比2.7%減の98万277台となり、前年の水準を下回った。国内生産車台数は9.0%増だったが、輸入車は為替の影響で8.4%減の62万4,409台、国内販売における輸入車の比率は63.7%となった。トルコでは、国内販売における輸入車の比率が6割前後を占める(表2参照)。

懸念される増税・為替安・金利上昇の影響

自動車販売をエンジン規模で見た場合、1,600cc以下の乗用車は全体の96.1%を占め、前年比4.8%減、1,600cc-2,000cc(構成比3.0%)は4.1%減、2,000cc以上(同0.3%)は46.9%減だった。1,600cc以下の乗用車の比率が高い背景には自動車に対する高い課税問題がある。特に特別消費税(SCT)は、高率で、2016年11月末に、2014年1月以来の増税が実施された(2016年12月15日付通商弘報84511b97e7e8f755参照)。トルコではSCT課税後にさらに付加価値税18%が標準課税される。

なお、電気自動車の販売は、公共部門への販売が中心と見られ、85kW以下のものが55台、121kW以上のものが21台の計76台と、2016年の44台からは増加したが、2015年の120台には及ばない。またハイブリッド車は、1,600cc以下が47.6%減の464台、1,601cc-1,801cc(50kw以上)が、前年の28台から3,704台に急増、1,801cc-2,000cc(50kw以下)が29.2減の63台、2,001cc-2,500cc(100kw以上)が純増の266台、2,500cc以上が71.4%減の10台だった。全体で2016年の1,038台から2017年は4,507台まで大きく伸びており、2016年に導入されたエコカー減税(注)が好感している。急増した1,600cc以下及び1,601cc-1,801cc(50kw以上)のハイブリッド車は特別消費税が60%と最も低い。

2017年に販売された乗用車で、ディーゼルエンジンのシェアは2016年の61.5%から61.0%にわずかに縮小し、伸び率は5.2%減(44万890台)だった。トルコはガソリンに対する税率が高いことでも知られており、小売価格が世界でも最も高い国の一つである。また自動車の走行距離も一般的に長く、車体価格は高いがランニングコストを低く抑えられるディーゼル車の人気が高い。また、トルコで普及している自動車は、マニュアル車が多くみられるが、オートマティック車の販売台数は前年比0.8%増(43万7,488台)、新車販売におけるオートマチック車のシェアは2016年の57.3%から60.5%に拡大した。

トルコの消費者は、年後半に実施される販売キャンペーンを待って、新車を購入する傾向があり、例年11月、12月に販売台数が急増するが、2017年は12月の自動車保有税引上げ(2017年12月26日付通商弘報9d9f6b3f3ac14885参照)の影響で、11月、12月に乗用車がそれぞれ前年同月比で20.7%、7.7%の減少となった。政府は2017年末に自動車ローンのローン及び担保基準額の改正(官報12月12日付第30268号)を行い、今まで以上に高額なローンを組むことを可能にするなど消費を喚起しようとしているが、業界では2018年は為替・金利動向が大きな影響をもたらすとし、個人向け販売を中心に5~10%減少するとの見方が強い。なお、2017年末までの道路登録台数は2,222万台、うち乗用車が1,204万台(構成比54.2%)となっている(表3参照)。

(注)エコカー減税は、2016年9月に導入され、同年11月の特別消費税税率改正で、一部変更された(2016年12月15日記事参照)。

(中島敏博)

(トルコ)

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