国家規格強制適用製品の輸入手続きが変更に-輸入申告書に製品登録番号の記入を義務付け-

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年02月16日

商業省は2月1日、通関の迅速化のため、インドネシア国家規格(SNI)強制適用製品の輸入に関し、新たな手続きを開始した。従来、輸入通関時に税関が行っていた製品登録番号(NPB)の検査を取りやめ、今後は輸入者自身が輸入申告書(PIB)にNPBを記載する義務を負う。これにより、SNI強制適用製品の輸入は輸入者の申告のみで可能となったが、他方、義務違反に対しては、輸入ライセンスの停止など罰則規定が強化されているため、輸入者自身で輸入申告の内容が適切かどうか確認することが必要だ。義務違反の有無については、商業省が事後監査するとされている。

税関での検査を取りやめて自己申告に

インドネシア国家規格(SNI)は、さまざまな製品の流通・販売に当たり、安全性・衛生面・環境影響面などの基準を設けたインドネシア独自の規格だ。SNIには任意と強制適用があり、商業省によると、2018年1月時点の強制適用の対象製品は115品目に及び、洗濯機や扇風機などの電化製品、電気ケーブル、特定の鋼板、タイヤ・ガラス・ホイールなどの自動車・二輪車関連部品、肥料、子供用玩具、ツナの缶詰、インスタントコーヒーなど多岐にわたる。

SNI強制適用製品の輸入については、商業大臣規定2016年第24号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、従来規定)において、事前に商品登録番号(NPB)を取得するよう定められている。従来規定に基づく輸入通関では、税関がSNIの要件を確認し、要件を満たさない物品については国外へ再輸出すると定めていた。

しかし、2018年2月1日から施行された商業大臣規定2018年第15号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、新規定)では、税関でSNIの要件を検査するとした条項を取り消し、代わりに輸入者に対して、輸入申告書(PIB)にNPBを記入することを義務付けた。これにより、SNI強制適用品の輸入に当たっては、輸入者の自己申告による対応が可能となった。

輸入申告違反者への罰則規定を厳格化

新規定では、輸入申告の違反者に対する罰則を厳格化した。NPBの事前取得や品質管理などに関する義務違反がある場合に、製品の流通停止などを定めた従来規定を改め、PIBにNPBを記入しなかった輸入者に対して、(1)書面での注意、(2)2度の書面での注意を受けても改善しない場合に輸入ライセンス(API)の取り消しを勧告、などを追加した。

こうした義務違反の有無については、商業省による事後監査で確認する仕組みとなっている。事後監査は、輸入者の倉庫など輸入したSNI強制適用製品の保管場所で行われる。対象製品を輸入する企業は、輸入申告書への申告漏れがないように注意することが必要だ。

なお、SNI強制適用製品以外にも、鉄鋼・合金やプラスチック原料、タイヤなど特定製品に関する、通関後検査(Post Border Verification:PBV)が2月1日から導入されているが、上記とは輸入手続きが異なっている(2018年1月31日記事参照)。

通関後検査の対象品目は増える見込み

商業省が1月25日に実施したSNI強制適用製品の輸入手続きに関する説明会では、国民の生命や安全、健康に関わる物品(廃棄物、火器、検疫など)については引き続き税関が水際で検査するものの、それ以外の多くの物品は通関時に検査せず、PBV方式に切り替えるという説明があった。英字紙「ジャカルタ・ポスト」(2月2日)によると、インドネシア政府は通関時間の短縮に取り組んでおり、PBVにより0.9~1.1日の短縮効果を見込んでいる。同紙において、ダルミン・ナスチオン経済担当調整相は、水際での検査を減らすため、今後さらにPBV対象品目を増やす意向を述べた。

PBV対象品目が増えることで税関による通関時の検査は減るものの、その分、輸入者による適正な輸入手続きへの責任は高まることになるため、輸入者には適切な書類の準備・作成・保管が重要となる。インドネシアへの輸出や同国での生産・販売を行っている企業は、自社の取扱製品がPBVの対象となっていないかどうか適時確認し、通関業者とともに輸入手続きを見直すことが必要だろう。

(山城武伸)

(インドネシア)

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