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VATの標準税率を7.7%に引き下げ

(スイス)

ジュネーブ発

2018年01月22日

2017年末まで時限的に適用されていた付加価値税(VAT)の追加徴収措置が終了したことを受け、1月1日からVATが引き下げられた。ただし、引き下げ幅は標準税率で0.3ポイントと小さいため、消費者や企業への影響は限定的とみられている。

標準税率0.3ポイント、特別税率0.1ポイントの引き下げ

スイスのVAT税率には、(1)標準税率、(2)宿泊サービス特別税率、(3)水、食品、ノンアルコール飲料、食肉、魚、穀物、書籍、新聞など特定の物品・役務に適用される軽減税率の3種類があり、各税率は憲法により定められている。2017年末まではそれぞれ8.0%、3.8%、2.5%だった。

政府は年金制度の改正法「老齢年金2020」を2017年9月24日に国民投票にかけたが、反対52.7%で否決された。また、憲法の条文改正となるため別に投票が行われた年金財源としての標準税率0.3ポイント、特別税率0.1ポイントの引き上げ案も、26州・準州のうち11州・5準州、および国民の50.1%が反対し、否決された(2017年10月5日記事参照)。

2017年末までのVAT税率は、2011年の国民投票の結果を受け、標準税率について0.4ポイント分、および特別税率について0.2ポイント分を、障害者年金保険(AI)の繰り入れ分として追加徴収するため取られた措置だった。また、2014年には別の国民投票で、標準税率と特別税率をそれぞれ0.1ポイント引き上げ、鉄道インフラ整備の財源に充てる法案が可決され、2018年1月から施行されることになっていた。その結果、2018年1月1日から、標準税率は0.3ポイント減の7.7%、特別税率は0.1ポイント減の3.7%となった。軽減税率は2.5%で据え置かれた。

ただし、少子高齢化により老齢年金の財源が危ぶまれる状況は変わらず、国会では引き続き、VAT税率の引き上げによる財源確保案が検討されている。

消費者や企業への影響は限定的か

VAT引き下げを受けた企業の対応としては、大手スーパーのミグロとコープが国民投票の翌日に、VATの引き下げ分は消費者に還元するとし、2018年からの小売価格の値下げを発表していた。また交通料金に関しても、地元紙「トリビューン・ドゥ・ジュネーブ」(12月2日)によると、スイス国鉄が2018年1月から鉄道運賃を段階的に引き下げるとの意向を示しているなどとあるが、1月15日時点でいずれも具体的な動きはみられない。いずれにせよ下げ幅が小さいため、税率引き下げの消費者への影響は限定的と考えられている。

企業は、引き下げによって恩恵を受ける可能性もある。製品・サービス価格を下げることによる売り上げ増加、価格を据え置く場合はマージンの増加が見込めるからだ。ただし、VAT税率の変更によるコンピュータシステムや経理手続きなどの変更による管理コストの増大もあり得る。日系企業や日本食材店の反応としては、わずか0.3ポイントの変更では管理コストに見合わず、少額商品の場合の減税分は最少通貨単位である0.5サンチームを下回るため、小売価格は特に変更しないとの声もあった。

(マリオ・マルケジニ、杉山百々子)

(スイス)

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