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生鮮食品が高値のカムチャツカ地方、温室誘致に関心

(ロシア)

モスクワ発

2018年01月30日

オホーツク海とベーリング海に挟まれた半島を含むカムチャツカ地方。水産関連業のほか、多くの火山があり自然や温泉資源が豊富なことから観光業も主要産業だ。他方、遠隔地であることや厳しい気候のため、生鮮食品の値段はモスクワや極東の他の都市と比べても高い。これを解消すべく、同地方政府は温室の誘致に関心を寄せている。


野菜・果物の多くは他地域・外国産に依存

カムチャツカ地方の主要経済指標は表1のとおり。人口は31万4,700人で、行政府があるペトロパブロフスク・カムチャツキー市(以下、ペトロパブロフスク)、同市に近いエリゾボ、ビチュリンスクの3市で同地方全体の約8割を占める。主要産業は水産関連産業で、漁業が域内総生産(GRP)の17%(2015年)を、また、製造業生産額のうち93%(2016年)を食品・飲料加工業が占める。豊富な自然環境を生かした観光業も主要産業とされ、2016年にはロシア国内を中心に約20万人の観光客が訪れた。

表1 カムチャツカ地方の主要経済指標

カムチャツカ地方はロシアの他地域・主要都市から遠い上、アクセスが空路と海路に限られ、気候も厳しい。現地で栽培されるジャガイモやキャベツなどを除き、多くの野菜や果物をロシアの他地方産や外国産に依存しており価格が高い。キュウリとトマトの小売価格をモスクワと日系企業が温室栽培を行うハバロフスク、ヤクーツクで比較すると、時期により差はあるが、キュウリはモスクワとハバロフスクの2倍超、ヤクーツクの1.5倍、トマトはヤクーツクと同水準だがモスクワとハバロフスクの1.5倍程度になる(図1、図2参照)。

 図1 都市別キュウリ(生鮮)の1キロ当たり小売価格
図2 都市別トマト(生鮮)の1キロ当たり小売価格

国内・中国産にアフリカ産果物も

ペトロパブロフスク市内のショッピングセンターにあるハイパーマーケット「サムベリ」で2017年12月に調査した販売価格は表2のとおり。産地はロシア国内(主に沿海地方)、中国産が多かったが、アフリカ産の果物も売られており、エジプト産イチゴは600グラムほどのパックで4,000ルーブル(約8,000円、1ルーブル=約2.0円)超だった。市中心部にある中央市場でも野菜、果物の価格は高く、地元温室栽培と称したトマトの価格は1キロ当たり800ルーブルだった。

食肉や卵は地元産が供給されている。カムチャツカ地方政府によると、同地方北部でトナカイの畜産、南部で養鶏や酪農が盛んだという。養豚業者も存在するようだ。

サムベリでは日本製品も販売されており、簡易ドリップ式コーヒー(10パック入り、269ルーブル)、シャンプー詰め替え用パック(348ルーブル)、缶ビール(500ミリリットル、159ルーブル)、缶コーヒー(250グラム、70ルーブル)などがあった。

表2 現地スーパーでの販売価格

日本からの温室技術や投資を優先

生鮮野菜・果物を少しでも安く入手できるようにしようと、カムチャツカ地方政府は温室栽培に関心を寄せている。アレクサンドル・クチェレンコ農業・食品加工相にジェトロが聞いたところ、「地方政府では温室の需要が20ヘクタール、うち野菜は10ヘクタール分あると見込んでいる。日本からの技術や投資を優先して誘致したい」と述べた(12月25日、以下同じ)。

カムチャツカ地方では2015年8月に優先的社会経済発展区域(TOR)「カムチャツカ」が設置された。ペトロパブロフスク市と周辺の複数の土地が対象で、このうち地方政府は温室誘致に「ゼレノフスキエ・オゼルキ」を活用する考えだ。市内から50キロほど離れた118ヘクタールの土地で、温室設置を計画する地元企業の「ゼリョナヤ・フェルマ」が2016年4月に入居者として登録されている。

写真 地元企業が温室を設置する計画の「ゼレノフスキエ・オゼルキ」(ジェトロ撮影)

付近には送電線や天然ガスパイプラインが通っており、地熱も活用できる。パイプラインの天然ガスは高圧のため、減圧施設を2018年第3四半期までに整備する予定だ。地方政府は農業向け電気料金の補助を行っており、通常1キロワット時当たり4.7ルーブルのところ、0.85~1ルーブルで利用できる。クチェレンコ農業相は「補助金は8~9年続ける予定で、温室向けを優先させたい」と述べた。天然ガス料金の補助はこれまで工業向けのみで農業向けに実績はないが「検討できる」とした。

地元で温室栽培を小規模ながら行っている同地方商工会議所のアレクサンドル・イワノフ副会頭は、ヤクーツクとの環境の違いとして日射量が多い点を挙げた。ヤクーツクは北緯62度、ペトロパブロフスクは53度に位置する。

エリゾボ空港にも電子ビザ導入を要請

ペトロパブロフスク・カムチャツキー港が1月1日からインターネットを通じた簡易電子ビザの対象として追加された(2018年1月10日記事参照)。カムチャツカ地方投資起業庁のデニス・プロファチロフ産業政策課長は、同港にクルーズ船が寄港するため観光需要が見込めるとして、「(ペトロパブロフスク郊外にある)エリゾボ空港での電子ビザの適用を連邦政府に強く要請している」とも述べた。施設の整備に加え、法律の改正作業と春からの国会で法案審議を要するため、「実現は2018年夏ごろ」とプロファチロフ課長は見込んでいる。

(浅元薫哉)

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