リヤドにオフィス開設、今後の協力促進に期待-「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」開催(1)-

(サウジアラビア、日本)

中東アフリカ課、リヤド、ドバイ発

2018年01月31日

ジェトロは1月14日にリヤドで「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」を開催した。300人を超える参加者が見守る中、両国閣僚のあいさつで始まり、サウジアラビア総合投資院(SAGIA)から新たに投資認可を受けた企業へのライセンス授与や覚書交換などが行われた。午前に開催されたオープニングセッションと、午後のビジネスセッションおよび翌日の産業視察ツアーの様子を、2回に分けて報告する。

オープニングセッションでは両国の協力関係を確認

2016年4月にサウジアラビアが発表した石油依存脱却を目指す経済・社会改革「サウジアラビア・ビジョン2030」の策定を機に、同年9月のムハンマド・ビン・サルマン皇太子(当時副皇太子)の来日時に開催された「日本サウジアラビア『ビジョン2030』ビジネスフォーラム」(2016年9月15日記事参照)、さらに2017年3月のサルマン国王の来日時に、ビジョン達成への協力を約束し両国間で策定した「日本・サウジ・ビジョン2030」を記念して開催された「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」(2017年3月23日記事参照)に続き、2018年1月14日にリヤドで初開催となる「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」がアル・ファイサリア・ホテルで開催された。サウジアラビア総合投資院(SAGIA)、中東協力センター(JCCME)、ジェトロの共催で、日本からは67社170人超、サウジからは150人超の参加があった。

写真 会場入り口のオブジェ(ジェトロ撮影)
 写真 300人以上の参加者(ジェトロ撮影)

午前に開催されたオープニングセッションでは、日本からは世耕弘成経済産業相、サウジアラビア側はマジッド・アル・カサビ商業投資相、ハーリド・アル・ファーレフ・エネルギー・産業・鉱物資源相、イブラヒム・アル・オマルSAGIA総裁、タリク・アル・カフタニ日本・サウジアラビア・ビジネスカウンシル共同議長ら要人が多数参加し、開会あいさつを行った。

サウジアラビア側は、それぞれの歓迎の言葉に始まり、これまでの両国関係ならびに本フォーラムを通じ「日サ・ビジョン2030」の達成に向けて一層の協力強化に期待を寄せると述べた。閣僚らの発言要旨は以下のとおり。

アル・カサビ商業投資相は、日本はサウジアラビアにとって最大投資国の1つで、製造業、エネルギー、環境、インフラ、金融、教育、ヘルスケア、人材育成と多様な分野での投資可能性があると述べた。アル・ファーレフ・エネルギー相は、サウジアラビアは製薬、建設、機械、自動車・同部品、化学などの分野で産業クラスターを構築していく計画で、再生エネルギー(太陽光・水力・核の平和利用)分野でも日本の投資・協力に期待していると語った。

世耕経済産業相は、日本から協力可能とした産業分野「食・農業」「エンターテインメント」「ヘルスケア・医療」「インフラ・環境」「新エネルギー・省エネルギー」「投資・ファイナンス」「中小企業交流・人勢能力開発」「スポーツ・教育・文化」などのそれぞれの進展について触れ、今後もオールジャパンとして一体となって協力強化を進めることをアピールした。

写真 世耕経済産業相のあいさつ(ジェトロ撮影)

アル・オマルSAGIA総裁は、フォーラムのプログラムの一部である「投資ライセンス授与」と「覚書交換」の式典について触れ、この場でこのような機会が持てることが喜ばしいと述べた。アル・カフタニ日本・サウジアラビア・ビジネスカウンシル共同議長は、サウジアラビアが投資環境の改善により日本からの直接投資にとってより魅力的な国になること、同カウンシルが両国の知見の交換、日本の中小企業の誘致支援などにより、さまざまな分野での日本企業の投資拡大を促進すると語った。

最後にジェトロの入野泰一理事が、エンターテインメントや健康・医療などはジェトロがサウジアラビア関連でこれまで協力してきた分野で、アニメ見本市「アニメジャパン」へのサウジ企業招聘(しょうへい)、ドバイの食品見本市「ガルフード」や医療機器の専門見本市「アラブヘルス」での日本企業紹介などの実績があり、今後も協力可能と述べた。

日本企業へのライセンス授与式や覚書交換式も

開会式での来賓・主催者あいさつの後、セレモニーセッションに移り、「日サ・ビジョン2030」の協力の下にリヤドならびに東京の両都市に開設される「ビジョン・オフィス」のリヤド側の開所式が行われ、オフィスの日本人メンバーが紹介された。その後、中東協力センターから「ビジョン貢献企業ブックレット」の最新版がSAGIA総裁に贈呈された。

続いて、SAGIAから新たに投資認可を受けた日本企業へのライセンス授与式ならびに日本とサウジアラビア双方の政府等機関・企業による覚書(MOU)交換式が開催された。ライセンスは3社に授与され、覚書は6組が交わした(表参照)。

表 対象企業・団体一覧
写真 覚書交換式の集合写真(ジェトロ撮影)

新規ライセンス取得企業、覚書交換機関・企業とも、ビジョン2030達成で重要視されている産業分野に関わっており、今後の2国間関係強化のためのビジネス推進に大きな期待が寄せられている。

(米倉大輔、山本和美、星出純江)

(サウジアラビア、日本)

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