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クック郡で導入された「ソーダ税」、4カ月間で廃止に

(米国)

シカゴ発

2017年12月19日

米国第3の都市シカゴのあるイリノイ州クック郡で、住民の健康を守ると同時に財政を潤すことを期待して導入された「ソーダ税」が12月1日、施行から4カ月で廃止となった。行政の誤算と世論の強い反対がその理由とされ、民間調査機関によると、導入している他の自治体でも小売業者の売り上げ減や税収が当初見込みを下回る実態があるという。


導入後も住民や業者の反発続く

米国では糖分の過剰摂取による肥満や糖尿病が深刻な問題となっており、さまざまな地域で甘味飲料に対する課税「ソーダ税」が提案されてきた。しかし、米国最大の都市ニューヨークが2012年に同税導入を試みたものの飲料業界の強い反発により頓挫するなど、大都市での導入は困難とされてきたが、クック郡のソーダ税は、飲料業界の強い反発に合いながらも2016年11月に郡委員会で9対8の僅差で可決され、導入にこぎ着けた(2017年1月6日記事参照)。

ソーダ税の施行は当初2017年7月1日の予定だったが、イリノイ州の小売業者協会(The Illinois Retail Merchants Association)の差し止め訴訟の影響もあり、約1カ月遅れの8月2日となり、クック郡はソーダ税を徴収する米国で最も人口の多い行政区画となった。しかし、導入後も住民や業者などの反発、反対派の同税撤廃に向けた動きなどが続き、わずか4カ月の短命で廃止された。

飲料売り上げが5割近く減るケースも

クック郡当局はソーダ税により年間2億ドルの税収を見込んでいたが、そのスタートは大変厳しいものだった。地方自治体は連邦法でフードスタンプ(低所得者に支給している食料費補助)で支払われた商品への課税が禁止されているため、87万人を超える同郡のフードスタンプ受給者は課税を免除される。加えて、卸売業者への課税は、ソーダ税が店頭販売価格に加算された上に売上税も課されると二重課税となり州法違反になるとの指摘から、見送られた。

住民をはじめ小売店やレストラン、飲料メーカー勤務者などからも多くの反対の声が聞かれた。現地報道によれば、住民がソーダ税のない隣の郡に買い物に行くケース、レストランや小売業者の飲料売り上げが5割近く落ち込むケースなどがあり、クック郡のジョン・デイリー民主党委員長には、住民や小売店のオーナーからの不満の声や飲料メーカーの工場勤務者らからの失業するのではないかとの不安の声など、多くの電話が殺到したという。さらに、肥満や糖尿病を防ぐことを目的としているにもかかわらず、ダイエット飲料にまで課税するのは間違っているなどの反発もあり、反対派のロビー団体「Can The Tax」によると、9割以上の住民が同税に反対しているとの報道もみられた。

税収見込めず郡職員を解雇の予定

こうした住民や小売業者などからの猛反発から、郡議会議員の反対派や関連業界は同税撤廃に向けた動きを強めた。また、同郡では2018年に選挙が予定されていることもあり、共和党の反対派議員だけでなく、当初はソーダ税を支持していた多数派の民主党議員も撤廃に動き、2017年10月11日に行われた郡委員会において撤廃案が15対2の賛成多数で可決され、ソーダ税は11月末をもって廃止となった。見込んでいた税収が絶たれ、財政赤字を抱える同郡は約320人の郡職員を解雇する予定だという。

ソーダ税はカリフォルニア州のバークレー市やサンフランシスコ市などで導入されており、人口70万を超える西海岸のシアトル市でも2018年1月の導入が決定している。一方、民間調査機関タックス・ファウンデーションによると、2017年1月に導入したフィラデルフィア市では、2017年上期の税収見込みが予想を下回っており、一部の小売業者の売上高にも減少がみられるという。

また、コカ・コーラやペプシコも加入する米国飲料協会(American Beverage Association)は「肥満のような難しい問題に関して、税金(ソーダ税)の代わりに、より良い方法がある。それには飲料会社、政府、公衆衛生関係者が協力し合って健全な解決策を導き出すことが必要だ」(10月23日)と述べ、「これまで40以上の差別的な税金が提案され拒絶されている事実は、人々は税金でより健康的になることはないことを示している」と主張する。

(笠原健、落合静美)

(米国)

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