新会社法が成立、旧法を大幅に見直し

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2017年12月14日

ミャンマーで新会社法が12月6日に成立した。これまでの会社法は英国統治下にあった1914年に制定されて以降、限定的な改正を除き大幅な見直しがされず、同国の現状と懸け離れる条項も多かった。テインセイン前政権時から数年にわたり国会での審議が続いていたが、念願の成立を果たした。

取締役の183日以上の駐在を義務化

12月6日に成立したミャンマー会社法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(以下、新会社法)には注目すべき点が幾つかある。その1つが、取締役の常駐義務が規定されたことだ。ミャンマーに進出した外国企業では、取締役がタイ法人やシンガポール法人の取締役を兼務し、ミャンマーの現地法人はミャンマー人社員が管理するケースが多く見受けられる。しかし新会社法では、取締役のうち1人はミャンマー居住者でなければならないとされ、その定義は「法律に基づいた永住者」か「12カ月のうち少なくとも183日間滞在する居住者」となっている。つまり、これを満たさない外国企業は、取締役として現地のミャンマー人を雇用するか、社員を183日間以上ミャンマーに派遣することが必要になる。

1914年制定の会社法(以下、旧会社法)では、外国企業は営業許可(Permit)を取得しない限り、ミャンマーで「事業」(business)を行ってはならないと規定されていたが、「事業」に具体的な定義がされていなかった。一方、新会社法では営業許可の制度が廃止され、政府への登録制となった。さらに、旧会社法で明確に定義されていなかった「事業」について、新会社法では「繰り返し行われない30日以内に完了する取引」などは「事業」として扱わないことが規定された。今後、これ以外の企業活動は「事業」として扱われ、政府への登録が必要となる予定だ。

外国企業の定義は外資比率が35%超に

旧会社法では、1株でも外国資本が入った企業は外国企業として定義された。この旧会社法と外国企業の不動産の賃貸借を制限する不動産譲渡制限法により、これまで外国企業は特別な許可を得ない限り、1年以上の賃借権が認められなかった。今回成立した新会社法では、外国資本が35%超であれば外国企業とすると規定された。そのため、今後は外国資本が35%以下の場合は内国企業として扱われるようになる。ただし、新会社法は不動産譲渡制限法には影響を与えないとも規定されており、今後、ミャンマー政府が不動産の賃貸借をどのように判断するかが注目点だ。また投資法では、卸売業(貿易業を含む)は商業省の政策に従うことや、その他の事業においても監督官庁の許可を得る必要がある事業が規定されており(2017年5月30日記事参照)、これらの事業に対して今後、監督官庁がどのような扱いをするのかについても注目される。

(堀間洋平)

(ミャンマー)

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