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前政権のCO2排出対策を廃止、新たな規制策定へ

(米国)

米州課

2017年11月02日

トランプ政権は、オバマ前政権が打ち出した火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出規制を定めた「クリーンパワープラン」(CPP)を廃止し、それに代わる新たな規制の策定に乗り出した。スコット・プルイット米環境保護局(EPA)長官が10月10日に明らかにした。大気浄化法の条文解釈の見直しにより、CO2排出規制を緩和する。

司法判断を待たず「クリーンパワープラン」を撤廃

今回の決定は、トランプ大統領が3月28日に署名した「エネルギー自立と経済成長に関する大統領令」(2017年4月6日記事参照)を受けたもので、エネルギー開発や雇用の妨げとなる環境規制を見直すことを目指す。CPPでは、国内の温室効果ガス削減のため、a.石炭火力発電の効率化、b.石炭火力発電の天然ガス化、c.風力、太陽など再生可能エネルギーの利用促進の3要素で期待されるCO2排出量を基準値として定め、州政府は同基準値を基に目標値を算出することになっていた。オバマ前政権は2015年10月、民主党が少数の連邦議会の中で、法改正を行わずに既存の大気浄化法第111条(d)の汚染物質発生源に対する規制の下で実施するものとしてCPPを発表し、各州に対して発電方法の見直しとCO2排出削減に関する州ごとの計画(State Plan)を提出するよう求めた。

これに対して米国内の27州政府と業界団体は、CPPの施行は連邦政府の権限を逸脱するとして連邦裁判所に訴訟を起こした。連邦最高裁は2016年2月、訴訟が結審するまでCPPの執行を一時停止することを命じ、現在に至っている。2018年にも予定されている下級審での判決がCPPの違法性を認めなかった場合、原告は最高裁へ上告するとみられるが、保守派判事が多い現在の最高裁では州政府などの主張が認められる可能性が高い。

CPPの見直しについて、トランプ政権には司法の最終判断を待つ選択肢もあったが、それを待たずにCPPの撤廃に乗り出した。プルイットEPA長官は「EPAの法的権限を逸脱し、州に電源構成の変更を強制したオバマ前政権の誤りを正すことに注力する」と述べた。

撤廃により2030年までに計330億ドルの節約効果

プルイットEPA長官は10月10日、CPPに代わる新たな規制を策定する提案を行う規則制定案告示(NPRM:Notice of Proposed Rulemaking)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を行った。米国では社会に大きな影響を与える法規制の修正や撤廃に際しては、行政手続き法により、行政府はNPRMを行い、その後60日間のパブリックコメントが実施されることになっている。NPRMではCPP撤廃による環境・健康・経済効果が分析され、CPP撤廃により2030年までに計330億ドルを節約できると結論付けている。また、2015年8月に公表されたCPPの規制影響分析については、米国の費用と世界全体への効果を比較している点や、発電所からの温室効果ガス以外の汚染物質の削減を経済効果に含めている点などを批判している。プルイットEPA長官は、EPAに与えられた法的な権限を順守するとともに、新規則によって影響を受けるあらゆる利害関係者の意見を聴取することで、適切かつ慎重に代替案を策定していくとしている。

どのような代替規制が出てくるのか現時点で不明だが、大気浄化法111条(d)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(各州の既存発電所からのCO2削減計画の策定)などの条文解釈の見直しにより、CO2排出規制をCPPより緩和する方向で検討が進められていくとみられている。しかし、米新興メディアのアキシオス(10月11日)は「CPPの撤廃と代替案策定は長い法律論争の始まりになる」としており、米国のCO2排出規制は代替案策定に向けて混迷を深めていく可能性もありそうだ。

(木村誠)

(米国)

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