欧州部で新たに4つの優先的社会経済発展区域を指定-「企業城下町」に産業の多角化を促す-

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2017年10月04日

メドべージェフ首相は10月2日、副首相7人との会議で、ロシア欧州部の4つの都市・地域を「優先的社会経済発展区域(TOR)」に指定したと発表した。同地域はいずれも旧ソ連時代から続く大企業の城下町で、政府は税制優遇措置をてこに、地方の「単一都市」の産業多角化を促したい考えだ。

沿ボルガ連邦管区に3カ所、中央連邦管区に1カ所を追加

指定されたのは、a.モルドビヤ共和国ルザエフカ(沿ボルガ連邦管区)、b.サラトフ州ペトロフスク(同)、c.ヤロスラブリ州トゥタエフ(中央連邦管区)、d.ウドムルト共和国サラプル(沿ボルガ連邦管区)の4カ所。いずれもウラル山脈より西のロシア欧州部にある旧ソ連時代から続く大企業の城下町で、企業の業績が地域経済を大きく左右する「単一(産業)都市(モノゴロド)」と呼ばれる。連邦政府はTOR指定を積極的に行うことで、地方政府による企業誘致と企業の投資意欲を活性化させ、地域産業の多角化を図りたい考えだ。今回指定された4つのTORの概要は表のとおり。

表 今回追加指定されたTORの概要
TOR名 主な誘致対象産業 誘致対象産業数 既存企業(事業内容) 予定投資額(億ルーブル) 予定雇用創出人数
ルザエフカ 農業、畜産、食品加工、軽工業など 25 ルズヒムマシ(化学関連設備製造) 25 1,350
ペトロフスク 農業、畜産、食品加工、軽工業など 15 モロト(船舶関連設備) 76 600
トゥタエフ 食品加工、軽工業、木材加工など 13 トゥタエフ・モーター工場(モーター製造) 57 1,400
サラプル 農業、畜産、漁業、採石、食品加工など 35 サラプル発電機工場(発電機製造)など 44 2,500

(出所)連邦政府ウェブサイト

TORは、入居企業に法人税、資産税、土地税と社会保険料率(雇用主負担分)などについて優遇措置を与える制度(2015年4月14日記事参照)。制度自体は2015年3月に創設され、地域経済の振興を目的にロシア極東地域に積極的に設置されている(2017年10月初頭時点で17カ所)。2016年1月からは、タタルスタン共和国ナベレジヌィ・チェルヌィ(沿ボルガ連邦管区)を皮切りに、対象地域を極東に限定せず、「単一都市」型のTORを創設している(2016年3月10日記事参照)。2017年に入って、ウリヤノフスク州ディミトロフグラード(沿ボルガ連邦管区)、ニジェゴロド州サロフ(同)の2カ所が追加で指定されている。

優遇条件は極東より厳しいが、政府は今後も積極的に設置の方針

今回の4カ所のTORは、一律の制度適用条件となっている。a.プロジェクト自体の最低投資額が1,000万ルーブル(約1,900万円、1ルーブル=約1.9円)以上、b.制度適用認定後の1年内の投資額が250万ルーブル、c.同期間内の常勤雇用が10人以上、の3つで、極東に設置されているTORの最低投資額50万ルーブルに比べ、優遇適用条件が厳しいのが特徴だ。

メドベージェフ首相は同会議で、「単一都市にはTORを創る権利がある。TORが都市の経済構造の発展に必要な働きもたらすことを期待している」と述べ、今後もTORを積極的に指定していく方向性を明らかにした。

(高橋淳)

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