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調整関税の税率を広範囲に引き上げ-日系企業にも波紋広がる-

(パキスタン)

カラチ発

2017年10月30日

パキスタン政府は10月16日、調整関税の税率を変更した。調整関税の対象となる全731品目のうち、ぜいたく品を中心とした333品目の税率を引き上げた。高価格帯の商品の輸入を抑制し、貿易赤字を縮小させる狙いがありそうだ。調整関税の対象となる物品を扱う当地日系企業の間では波紋が広がっている。

333品目の税率引き上げ・新規課税

パキスタン政府は調整関税(注)に係る新たな「法定規制令(SRO)1035(I)/2017外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、即時発効した。調整関税についてはこれまで、SROが8種類発効されていたが、今回、それらの内容を統合した税率表も公開された。全731品目のうち、333品目については税率の引き上げ、または新たに課税が行われた。税率が引き下げられたのは1品目(使用期間5~10年の中古コンバイン)のみだった。

調整関税はこれまでもSROによって散発的に引き上げられていたが、今回のSRO1035(I)/2017では、生活必需品を除いたぜいたく品を中心としつつも、より幅広い品目が引き上げの対象となっている。具体的には、食料品、化粧品、繊維製品、スポーツ用品、陶磁器製品や電化製品などの税率が引き上げられた。日系企業への影響が大きい品目では、自動車部品および完成車の一部が引き上げ対象となった。完成車は排気量が増えるにつれて税率が高く設定され、例えば排気量1800ccを超える高級車に課税される調整関税は、従前の50%から80%へと引き上げられた。また、これまで対象外だった自動車用タイヤにも、新たに20%の調整関税が課されるようになった。

貿易赤字対策としての効果は不透明

パキスタン統計局(PBS)によると、2017年7~9月期の貿易赤字(通関ベース)は90億8,800万ドルと、前年同期の70億400万ドルに比べ29.6%増となった。パキスタンはこれまで貿易赤字に伴う外貨流出を、海外在住の出稼ぎ労働者からの本国送金で補填(ほてん)するかたちで、外貨準備高を維持してきた。しかし、近年は貿易赤字が拡大する一方、海外からの送金が伸び悩み、外貨準備高は減少傾向にある。

今回の調整関税の引き上げは、貿易赤字を抑制するために実施されたとみられている。ムルタン商工会議所のマリク・アワン会頭は「政府は輸入に対する調整関税の強化によって貿易赤字を補填するのではなく、輸出の拡大に向けて輸出者の課題を解決することに注力すべきだ」と発言している(「エクスプレス・トリビューン」紙10月23日)。

政府は、徴税強化による税収拡大も見込んでおり、2017/2018会計年度(2017年7月~2018年6月)中に200億~250億パキスタン・ルピー(約220億~275億円、1ルピー=約1.1円)の歳入増を想定しているが、現地報道によると、今回の調整関税の引き上げが歳入にもたらす効果は限定的との見方が多数だ。ラホール商工会議所(LCCI)、イスラマバード商工会議所(ICCI)やファイサラバード商工会議所(FCCI)は、相次いで今回の引き上げを批判している。

タイヤの輸入を一時停止する日系企業も

現在、パキスタンには自動車メーカーや総合商社など84社の日系企業が進出しているが、これらの進出日系企業も、今回の調整関税引き上げに対して厳しい見方を示している。特に自動車関連の商材を扱う企業は、タイヤの輸入を一時停止するなど影響が出ている。

(注)調整関税(Regulatory Duty)とは、特定の物品を輸入する際、関税(Customs Duty)に加えて、追加で賦課される間接税の一種。

(野上活)

(パキスタン)

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