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コービン党首、EU単一市場へアクセス保証を求める-労働党が党大会を開催-

(英国)

ロンドン発

2017年09月29日

最大野党の労働党は9月24~27日に党大会を開催した。ジェレミー・コービン党首は、政権交代や一部民間事業の再国営化の必要性を訴えたほか、EU離脱(ブレグジット)に関しては、単一市場への自由なアクセスの継続などを主張した。

「われわれこそが政治的主流」

労働党の党大会はイングランド南東部に位置するブライトンで開催された。2017年6月に実施された下院総選挙で、与党・保守党を過半数割れに追い込んだ(2017年6月12日記事参照)労働党は、選挙後も堅調に国民の支持を集めており、調査会社ユーガブ(YouGov)が行った最新の世論調査の結果によると、労働党支持率は43%と保守党の39%を上回っている。ブレグジットについての交渉方針をめぐる英国政権内部での対立が報じられているほか、交渉の進捗が芳しくないことなどを背景に、今回の党大会では政権交代の必要性を強く訴える主張が相次いだ。

最終日となる9月27日に演説したコービン党首は労働党の現状について、「いまだ野党の位置を占めている」と先の選挙戦における取り組みが不十分だった点は認めたものの、「政権交代の準備はできている」「今やわれわれこそが政治的主流」と気炎を上げた。

コービン党首は75分にも及んだスピーチで、総選挙に当たって策定されたマニフェストを踏まえ、労働党として目指す政策の在り方についても説明した。中でも注目を集めたのが、住宅賃料管理制度の導入だ。英国では住宅賃料の値上がりが続いており、現在のロンドン市内の住宅賃料は2011年初頭に比べて23%上回る。ロンドン市内を除いた国内平均でも同じ期間に11%値上がりしており、若年層や低所得層が居住の確保に苦慮するなど、住宅賃料の高騰や低賃料の公共住宅の不足が社会問題となっている。これに対し、コービン党首は「若年層の住宅コストが祖父母の世代の3倍を超えるような事態は持続的といえず、賃料管理を導入する」と述べたほか、住宅戸数の増強などに向けたデベロッパー所有の未開発の土地への課税の必要性にも言及した。

またコービン党首は経済政策全般について、「経済再建に向け政府がより主体的な役割を果たすべきで、保守党にとっての教条と化している新自由主義(注)に代わる経済運営モデルが必要」とした。マニフェストでも郵便、鉄道、エネルギー分野などの民営化された企業の再国・公営化を掲げたが、特に民営化がうまく機能していない公的事業への政府の介入の妥当性をあらためて訴えた。会場からは「この問題はこれから検討して白黒つけるものではなく、既に解が自明なもの」と支持する声が多かった。

党内での意見集約に難しさも

ブレグジットについては、コービン党首はまず、9月22日にテレーザ・メイ首相が訪問先のイタリア・フィレンツェにおいて、EU単一市場へのアクセスと関税同盟への継続的参加を認める2年程度の移行期間設定を提起した(2017年9月25日記事参照)点を歓迎する姿勢をみせた。ただし、移行期間にとどまらず、広くブレグジットに伴う問題を考えた時に「残留派と離脱派の統合を進めることができるのは労働党のみ」とした。移行期間後のEUとの関係については、「単一市場への制限のないアクセスを保証するとともに、EUとの間で新たに相互扶助的関係を構築する」と述べた。

一方で、単一市場へのアクセスや関税同盟への参加といった問題については、党内での意見集約の難しさも垣間見える。党大会に合わせて会場内では、多くのイベントが催されたが、シンクタンクのオープン・ヨーロッパ主催セミナーでは、労働党所属議員が単一市場や関税同盟について議論した。下院EU離脱委員会の委員長を務めるヒラリー・ベン議員は、これらの扱いは今後の交渉に依存するとしつつ、EU加盟国やEUを通じて協定を結んでいる国などとの貿易状況に鑑み、「関税同盟から離脱しようとするのは誤りで、残留を望む」と発言した。これに対し、元欧州担当相のキャロライン・フリント議員は「人の移動の自由を受け入れることができないのならば、単一市場に参加することはできない」との認識を示した。

(注)市場原理による経済運営を是とし、政府による市場介入を最小化しようとする考え。

(佐藤央樹)

(英国)

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